論点不動産登記法 - 敷地権付き区分建物の登記の制限
⚠ ひっかけパターン:除外規定・例外の無視の逆(例外の適用範囲の逸脱:敷地権の発生前の例外を発生後にも適用)
- ① どこが間違いか
- 敷地権が生じた後に登記原因が生じた建物のみの売買による所有権移転登記は申請することができない
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 不動産登記法73条3項本文は、敷地権付き区分建物には建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記をすることができないと定める。ただし書で許されるのは、敷地権が生じる前に登記原因が生じた場合の仮登記等であり、敷地権が生じた後に登記原因が生じたものは、分離処分禁止の場合を除き例外に当たらない。区分所有法22条1項により、規約に別段の定めがない限り、専有部分と敷地利用権の分離処分は禁止されるため、建物のみの売買は無効であり登記もできない。
- ③ 正しい記述
- 敷地権付き区分建物について、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じた当該建物のみの売買を登記原因とする所有権の移転の登記を申請することはできない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 専有部分と敷地利用権の一体性を確保する分離処分禁止の制度を登記面でも徹底し、建物のみ又は敷地権のみの権利関係が登記上生じて不動産取引の安全が害されるのを防ぐため、このように定められている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【敷地権の前は例外あり、後は原則どおり不可】敷地権が生じる前に原因が生じたものは建物のみでも可、生じた後は不可。対比:敷地権付き区分建物の賃借権の登記は分離処分禁止の対象外なので、建物のみに関する旨の付記登記は不要。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 敷地権が生じる前にその登記原因が生じた建物のみを目的とする質権又は抵当権に係る権利に関する登記は、敷地権付き区分建物にもすることができる。
- 敷地権が生じる前にその登記原因が生じた建物のみの所有権についての仮登記は、敷地権付き区分建物にもすることができる。
- 敷地権付き区分建物についてされた賃借権の登記には、建物のみに関する旨の付記登記はされない。
- 正しいルール
- 敷地権付き区分建物には、敷地権が生じた後にその登記原因が生じた建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記をすることはできない(分離処分禁止)
- 根拠条文
- 不動産登記法73条3項、建物の区分所有等に関する法律22条
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(敷地権付き区分建物に関する登記等)
敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権(一般の先取特権、質権又は抵当権をいう。以下この条において同じ。)(…)に係る権利に関する登記は、第46条の規定により敷地権である旨の登記をした土地の敷地権についてされた登記としての効力を有する。ただし、次に掲げる登記は、この限りでない。
一 敷地権付き区分建物についての所有権又は担保権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をする前に登記されたもの(担保権に係る権利に関する登記にあっては、当該登記の目的等(登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付をいう。以下この号において同じ。)が当該敷地権となった土地の権利についてされた担保権に係る権利に関する登記の目的等と同一であるものを除く。)(…)
二 敷地権付き区分建物についての所有権に係る仮登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
三 敷地権付き区分建物についての質権又は抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生ずる前に生じたもの
四 敷地権付き区分建物についての所有権又は質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって、区分建物に関する敷地権の登記をした後に登記されたものであり、かつ、その登記原因が当該建物の当該敷地権が生じた後に生じたもの(区分所有法第22条第1項本文(同条第3項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない場合(以下この条において「分離処分禁止の場合」という。)を除く。)(…)
2 第46条の規定により敷地権である旨の登記をした土地には、敷地権の移転の登記又は敷地権を目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該土地が敷地権の目的となった後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)(…)又は敷地権についての仮登記若しくは質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該土地が敷地権の目的となる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
3 敷地権付き区分建物には、当該建物のみの所有権の移転を登記原因とする所有権の登記又は当該建物のみを目的とする担保権に係る権利に関する登記をすることができない。ただし、当該建物の敷地権が生じた後にその登記原因が生じたもの(分離処分禁止の場合を除く。)(…)又は当該建物のみの所有権についての仮登記若しくは当該建物のみを目的とする質権若しくは抵当権に係る権利に関する登記であって当該建物の敷地権が生ずる前にその登記原因が生じたものは、この限りでない。
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(分離処分の禁止)
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第14条第1項から第3項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
3 前2項の規定は、建物の専有部分の全部を所有する者の敷地利用権が単独で有する所有権その他の権利である場合に準用する。
登記申請例を見る(記述対策)
| 登記の目的 | 所有権移転(敷地権付き区分建物のみを目的とするものは不可) |
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| 登記原因及びその日付 | 令和〇年〇月〇日 売買 |
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| 申請人の氏名又は名称(権利者) | B |
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| 申請人の氏名又は名称(義務者) | A |
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| 添付情報 | 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 代理権限証明情報 |
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| 登録免許税額 | 不動産の価額の1000分の20 |
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| 特記事項 | 共同申請。敷地権が生じた後に原因が生じた建物のみの移転登記は不動産登記法73条3項により却下される。敷地権も含めて一体として移転する場合のみ申請可能 |
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令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。