論点商業登記法 - 役員等の変更の登記(株主総会の決議の省略と添付書面)
⚠ ひっかけパターン:添付情報の要否の逆転(就任承諾書が必要であるのに不要とした)
- ① どこが間違いか
- みなし決議により取締役が選任された場合でも、被選任者の就任承諾書の添付は省略できない。
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 株主総会の決議の省略(会社法319条1項)は、株主総会の決議の成立を擬制するにすぎず、選任された者が就任を承諾したことまで擬制するものではない。取締役の就任による変更の登記の申請書には、決議の省略の場合も、みなし決議を証する書面(提案書面及び同意書面を含む議事録等)に加え、被選任者の就任承諾書を添付しなければならない(商業登記法54条1項、同法46条1項)。
- ③ 正しい記述
- 取締役が株主総会の目的である事項として取締役の選任について提案し、当該提案につき議決権を行使することができる株主の全員が書面により同意したことによって、株主総会の決議があったものとみなされた場合には、取締役の就任による変更の登記の申請書には、被選任者の就任承諾書を添付しなければならない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 取締役の就任は、会社の選任の意思表示と被選任者の承諾によって成立する。株主総会の決議はその一方にすぎず、決議が現実の開催に代えてみなし決議で成立しても、被選任者の承諾の要否には影響しない。そのため、就任承諾の事実を登記官に証明させる必要がある。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【決議はみなせても承諾はみなせない】みなし決議は「選任決議」の代替にすぎない。就任承諾書は常に別途必要。対比:2025年の出題は、みなし決議の場合に定款の添付が必要かどうかを問うものであり、結論は「同意書で足り定款は不要」。みなし決議の書面と就任承諾書は別の書類と整理する。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 取締役を株主総会で選任した場合、議決権を行使できる株主全員の同意があるときは、株主総会議事録に代えて、提案書面及び同意書面を添付して登記を申請することができる。
- 取締役会設置会社でない会社の取締役の就任による変更の登記では、原則として株主総会議事録の添付が必要であり、これは決議の省略の場合にも議事録等に代わる書面が必要である。
- 取締役の再任の場合の本人確認証明書は、新任の場合と異なる扱いがされることがある。
- 正しいルール
- 取締役の選任について会社法319条1項により株主総会の決議があったものとみなされた場合、取締役の就任による変更の登記の申請書には、提案書面及び株主全員の同意書面を含むみなし決議事項を記載した議事録等を添付し、就任承諾書も必要である。就任承諾書は、みなし決議の場合も省略できない。
- 根拠条文
- 会社法319条1項、商業登記法46条1項、商業登記法54条4項
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(株主総会の決議の省略)
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)(…)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 株式会社は、前項の規定により株主総会の決議があったものとみなされた日から10年間、同項の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
3 株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
4 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第2項の書面又は電磁的記録について前項各号に掲げる請求をすることができる。
5 第1項の規定により定時株主総会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなされた場合には、その時に当該定時株主総会が終結したものとみなす。
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(添付書面の通則)
登記すべき事項につき株主全員若しくは種類株主全員の同意又はある取締役若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。
2 登記すべき事項につき株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。
3 登記すべき事項につき会社法第319条第1項(同法第325条において準用する場合を含む。)(…)又は第370条(同法第490条第5項において準用する場合を含む。)(…)の規定により株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議があつたものとみなされる場合には、申請書に、前項の議事録に代えて、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
4 監査等委員会設置会社における登記すべき事項につき、会社法第399条の十三第5項又は第6項の取締役会の決議による委任に基づく取締役の決定があつたときは、申請書に、当該取締役会の議事録のほか、当該決定があつたことを証する書面を添付しなければならない。
5 指名委員会等設置会社における登記すべき事項につき、会社法第416条第4項の取締役会の決議による委任に基づく執行役の決定があつたときは、申請書に、当該取締役会の議事録のほか、当該決定があつたことを証する書面を添付しなければならない。
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(取締役等の変更の登記)
取締役、監査役、代表取締役又は特別取締役(監査等委員会設置会社にあつては監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役、代表取締役又は特別取締役、指名委員会等設置会社にあつては取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役)(…)の就任による変更の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
2 会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第333条第1項に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第337条第1項に規定する者であることを証する書面
3 会計参与又は会計監査人が法人であるときは、その名称の変更の登記の申請書には、前項第2号に掲げる書面を添付しなければならない。ただし、同号ただし書に規定する場合は、この限りでない。
4 第1項又は第2項に規定する者の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。
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登記申請例を見る(記述対策)
| 登記の事由 | 取締役の変更 |
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| 登記すべき事項 | 令和〇年〇月〇日取締役A就任 |
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| 申請人 | 甲株式会社 |
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| 添付書面 | 株主総会議事録(みなし決議事項を記載したもの) 1通 株主全員の同意書面 1通 株主リスト 1通 就任承諾書 1通 |
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| 登録免許税額 | 金1万円(資本金の額が1億円以下の会社の場合は金1万円) |
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| 特記事項 | 資本金の額が1億円を超える会社は金3万円。みなし決議の場合も就任承諾書は必要 |
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令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。