⚠ ひっかけパターン:効果・結論の逆転(既判力が生じない→既判力が生じる)
- ① どこが間違いか
- 訴訟上の和解には確定判決と同一の効力が認められるものの、既判力は生じないとするのが判例の立場であり、当事者は後訴において和解の無効・取消しを主張することができる
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民事訴訟法267条は、訴訟上の和解が成立したときは「確定判決と同一の効力を有する」と定めている。しかし、最高裁判例(最判昭和33年6月14日)は、訴訟上の和解には既判力は生じないとしている。「確定判決と同一の効力」とは主に執行力(債務名義となること)と訴訟終了効を指し、既判力までは含まれないと解されている。したがって、当事者は後訴において訴訟上の和解の無効・取消しを主張することができ、和解の内容と矛盾する主張も遮断されない。
- ③ 正しい記述
- 訴訟上の和解が成立したときは、確定判決と同一の効力を有するが、訴訟上の和解には既判力は生じないとするのが判例の立場であり、当事者は後訴において当該和解の無効・取消しを主張することができる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 訴訟上の和解は当事者の合意(私法行為)を基礎とするため、意思の瑕疵(錯誤・詐欺など)があれば民法上の取消し・無効の主張が可能な余地を残す必要がある。もし確定判決と同様に既判力が生じるとすると、和解に錯誤があっても後訴でその無効を争えなくなり、当事者に酷な結果となる。そこで、執行力は認めつつも既判力は生じないと解することで、当事者の権利救済の途を確保するという政策的判断がある。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【和解は「確定判決と同一の効力」≠「既判力あり」】「同一の効力」という文言から反射的に「既判力もある」と誤解しやすい最大の罠。「和解=合意=当事者の意思が基礎→意思の瑕疵で争える→既判力なし」と、和解の本質(私的合意)から導くと覚えやすい。確定判決との対比で「執行力○・既判力×」と整理すること。
- 正しいルール
- 訴訟上の和解が成立したときは確定判決と同一の効力を有するが、既判力は生じないとするのが判例の立場である
- 根拠条文
- 民事訴訟法267条
民事訴訟法267条の条文を見るe-Gov法令API取得
(和解等に係る電子調書の効力)
裁判所書記官が、和解又は請求の放棄若しくは認諾について電子調書を作成し、これをファイルに記録したときは、その記録は、確定判決と同一の効力を有する。
2 前項の規定によりファイルに記録された電子調書は、当事者に送達しなければならない。この場合においては、第二百五十五条第二項の規定を準用する。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。