⚠ ひっかけパターン:主体の入れ替え(裁判所書記官→裁判官)
- ① どこが間違いか
- 執行文を付与する主体は裁判所の「裁判官」ではなく「裁判所書記官」である
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民事執行法26条1項は、執行文は申立てにより、事件の記録の存する裁判所の書記官(事件の記録が裁判所に存しないときは、その事件について最後に裁判をした裁判所の書記官)が付与すると定めている。また、債務名義が公正証書である場合には、その原本を保存する公証人が付与する。本問のように確定判決を債務名義とする場合、執行文の付与権限を有するのは当該訴訟事件の記録の存する裁判所の書記官であり、裁判官にはこの権限がない。
- ③ 正しい記述
- Aが有する確定判決に基づいてBに対する強制執行をする場合において、Aが執行文の付与を受けるためには、その判決に係る訴訟事件の記録の存する裁判所の書記官に対し、執行文の付与を申し立てなければならない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 執行文の付与は、債務名義に表示された請求権について現に強制執行をすることができる状態にあることを公証する事実行為であって、実体的な権利義務についての裁判所の判断(裁判官の職務)とは性質を異にする。そのため、迅速かつ形式的な事務処理になじむ裁判所書記官(公正証書の場合は公証人)にその権限が与えられている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 「判断は裁判官、証明は書記官」と役割で覚える。判決を下すのは裁判官だが、確定後にその判決を執行できる状態にあることを公証する執行文付与は事務的作業として書記官(又は公証人)が担当する。なお、仮執行宣言付支払督促に基づく強制執行では原則として執行文の付与を要しない(民事執行法25条ただし書)という例外も併せて押さえておくとよい。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 債務名義が公正証書である場合の執行文は、その原本を保存する公証人が付与する。
- 確定期限の到来など債権者が証明すべき事実の到来にかかる場合には、その事実の到来を証明したときに限り執行文(条件成就執行文)が付与される。
- 執行文の付与に関する処分に不服がある債務者は、執行文の付与に対する異議の申立てをすることができる。
- 正しいルール
- 執行文は、事件の記録の存する裁判所の書記官(債務名義が公正証書である場合は公証人)が付与する
- 根拠条文
- 民事執行法26条1項
民事執行法26条の条文を見るe-Gov法令API取得
(…)(執行文の付与)
執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本(…)(執行証書が電磁的記録をもつて作成されている場合にあつては、当該電磁的記録)を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める方法により行う。
一 債務名義に係る電磁的記録がファイルに記録されたものである場合における執行文の付与債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる旨を当該電磁的記録に併せて記録する方法
二 債務名義が電磁的記録をもつて作成された執行証書である場合における執行文の付与債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる旨を当該電磁的記録に併せて記録するとともに、その旨を当該債務名義に係る公証人法第44条第1項第2号の書面の末尾に付記し、又はその旨を当該債務名義に係る同項第3号の電磁的記録に併せて記録する方法
三 前2号に掲げる場合以外の場合における執行文の付与債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法
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令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。