⚠ ひっかけパターン:効果・結論の逆転(原則撤回不可→いつでも自由に撤回できるとした)
- ① どこが間違いか
- 裁判上の自白をした当事者は、原則としてこれを自由に撤回することができず、相手方の同意等の例外的事情がある場合に限り撤回が認められるのであって、いつでも自由に撤回できるわけではない
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民事訴訟法179条は、裁判所において当事者が自白した事実は証明することを要しないと定めており、裁判上の自白には当事者及び裁判所を拘束する効力(自白の拘束力)が認められている。この拘束力の趣旨から、判例・通説上、自白をした当事者は原則としてこれを撤回することができず、①相手方の同意がある場合、②自白の内容が真実に反し、かつ自白をしたことが錯誤に基づく場合(この場合には反真実と錯誤を主張する当事者がこれを証明する必要がある)、③自白が刑事上罰すべき他人の行為によりされた場合に限り、例外的に撤回が許されるとされている。本問はこれらの例外的事情に触れずに「いつでも自由に撤回することができる」としている点で誤りである。
- ③ 正しい記述
- Aが提起した訴訟において、Bが口頭弁論期日において自己に不利益な事実を自白した場合、Bは、原則としてこれを撤回することができず、相手方Aの同意がある場合、自白の内容が真実に反し、かつ自白が錯誤に基づく場合、又は自白が刑事上罰すべき他人の行為によりされた場合に限り、これを撤回することができる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 自白は、当事者が争いのない事実として弁論に提出したものであり、相手方はその事実について証拠調べの必要がないと信頼して訴訟活動を行う。もし自白をいつでも自由に撤回できるとすれば、相手方の信頼を害し、訴訟手続の安定性・審理の効率性が損なわれる。そこで、自白には当事者及び裁判所を拘束する効力を認め、撤回を厳格な要件のもとでのみ許すことにより、弁論主義(当事者が争わない事実を裁判所は証拠なしに認定できるという原則)の機能を確保している。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【自白は縛る、勝手には外せない】自白は「言った者勝ち」を防ぐための拘束力があり、撤回には「同意・反真実+錯誤・刑事上罰すべき他人の行為」の三つの例外が必要と覚える。訴訟上の和解(民事訴訟法267条)が確定判決と同一の効力を持ち原則取消しできない点と対比すると、いずれも「手続の安定性を守るために当事者を拘束する」という共通点で整理しやすい。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 裁判上の自白の対象となるのは主要事実(訴訟物たる権利関係の判断に直接必要な事実)であり、間接事実や補助事実についての自白には裁判所拘束力が及ばないとされる。
- 自白の撤回において反真実及び錯誤を証明する場合、反真実が証明されれば錯誤の存在が推認されるとする判例の考え方がある。
- 当事者が自白した事実は証明を要しないため、裁判所はこれに反する認定をすることができない。
- 正しいルール
- 裁判上の自白は当事者及び裁判所を拘束し、自白をした当事者は原則としてこれを自由に撤回することができず、相手方の同意がある場合、自白の内容が真実に反し、かつ自白が錯誤に基づく場合、自白が刑事上罰すべき他人の行為によりされた場合等に限り撤回が許される
- 根拠条文
- 民事訴訟法179条
民事訴訟法179条の条文を見るe-Gov法令API取得
(証明することを要しない事実)
裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。
令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。