⚠ ひっかけパターン:効果の逆転(確定を要件とする効力発生時期を、送達のみで足りるとした)
- ① どこが間違いか
- 転付命令の効力発生時期を「Cへの送達時」としている点が誤りであり、正しくは転付命令が確定して初めてその効力を生ずる
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民事執行法159条2項は転付命令を差押債権者及び第三債務者に送達しなければならないと定めるが、同条5項は「転付命令は、確定しなければその効力を生じない。」と明記している。また同条4項により転付命令に対しては執行抗告をすることができるため、送達されただけでは未確定であり、抗告期間の経過や抗告棄却等によって確定した時点で初めて効力を生ずる。本問は送達時点で確定を待たずに効力を生ずるとしている点で誤っている。
- ③ 正しい記述
- AのBに対する金銭債権を請求債権として、BのCに対する金銭債権が差し押さえられ、Aの申立てにより転付命令が発せられた場合において、当該転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 転付命令は、差し押さえた金銭債権を券面額で差押債権者に帰属させ、他の債権者による配当加入を排除するという強力な効果を有する。そのため、債務者や第三債務者に執行抗告による不服申立ての機会を実質的に保障した上で、その手続が確定した段階で初めて効力を生じさせることとし、手続の安定性と関係者の手続保障を図る趣旨から確定要件が定められている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【転付命令は「確定」してから効く】執行抗告という不服申立ての機会があるため、送達だけでは未確定。対比として、転付命令が第三債務者に送達される「前」に他の債権者の差押え等があった場合はそもそも転付命令の効力自体が生じない(民事執行法159条3項)という別の要件と混同しないよう注意する。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 転付命令が第三債務者に送達される時までに、当該債権について他の債権者による差押え、仮差押えの執行又は配当要求があったときは、転付命令はその効力を生じない(民事執行法159条3項)。
- 転付命令に対しては執行抗告をすることができる(民事執行法159条4項)。
- 転付命令が効力を生じたときは、差し押さえられた債権は、その券面額で第三債務者に送達された時に弁済されたものとみなされる(民事執行法160条)。
- 正しいルール
- 転付命令は、第三債務者及び差押債権者に送達されるだけでなく、確定しなければその効力を生じない
- 根拠条文
- 民事執行法159条2項、民事執行法159条4項、民事執行法159条5項
民事執行法159条の条文を見るe-Gov法令API取得
(…)(転付命令)
執行裁判所は、差押債権者の申立てにより、支払に代えて券面額で差し押さえられた金銭債権を差押債権者に転付する命令(…)(以下「転付命令」という。)を発することができる。
2 転付命令は、債務者及び第三債務者に送達しなければならない。
3 転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
4 第1項の申立てについての決定に対しては、執行抗告をすることができる。
5 転付命令は、確定しなければその効力を生じない。
6 差し押さえられた金銭債権が第152条第1項各号に掲げる債権又は同条第2項に規定する債権である場合(…)(差押債権者の債権に第151条の二第1項各号に掲げる義務に係る金銭債権が含まれているときを除く。)における前項の規定の適用については、同項中「確定しなければ」とあるのは、「確定し、かつ、債務者に対して差押命令が送達された日から4週間を経過するまでは、」とする。
7 転付命令が発せられた後に第39条第1項第7号又は第8号に掲げる文書を提出したことを理由として執行抗告がされたときは、抗告裁判所は、他の理由により転付命令を取り消す場合を除き、執行抗告についての裁判を留保しなければならない。
🔗 条文ランダム表示アプリで民事執行法159条を開く
令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。