⚠ ひっかけパターン:義務・任意の混同(「することができる」→「しなければならない」)
- ① どこが間違いか
- 過剰防衛による刑の減免は裁判所の裁量による任意的なものであり、必ず減軽・免除しなければならないものではない
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 刑法36条2項は「防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と規定しており、これは裁判所の裁量による任意的減免である。侵害の程度や行為者の心理状態等の具体的な情状を考慮した上で減軽・免除するか否かを判断するのであって、必ず減免されるわけではない。
- ③ 正しい記述
- Aが、Bからの急迫不正の侵害に対し、自己の権利を防衛するためにした行為が、その防衛の程度を超えた過剰防衛に該当する場合、裁判所は、情状によりその刑を減軽し又は免除することができる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 過剰防衛は、急迫不正の侵害という緊急状況下で行われたものであるため、行為者に恐怖・驚愕・興奮等の心理的動揺が生じやすく、その責任非難が通常の犯罪行為より軽減される場合が多いという事情がある。しかし、防衛の程度を超えている以上、なお違法性・責任は残存するため、画一的に必要的減免とするのではなく、侵害の程度や防衛行為の態様等の具体的事情(情状)に応じて減軽・免除するかどうかを裁判所の裁量に委ねる制度とされている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 「情状により」という文言に着目し、任意的減免と覚える。対比として、中止犯(刑法43条ただし書)は「自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」と規定され、必要的減免(できる、ではない)である点、また心神耗弱(刑法39条2項)は「その刑を減軽する。」と必要的減軽である点と混同しないよう整理する。過剰防衛は任意的、中止犯・心神耗弱は必要的、と対比して覚える。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 正当防衛(刑法36条1項)に該当する行為は、違法性が阻却され、罰しないとされる。
- 誤想防衛は、急迫不正の侵害が現実には存在しないのに存在すると誤信して防衛行為をした場合であり、故意の成否をめぐって学説上争いがある。
- 過剰防衛に当たるか否かは、侵害の程度と防衛行為の程度とを比較して、防衛行為が侵害に対し相当性を欠くかどうかによって判断される。
- 正しいルール
- 過剰防衛の場合、裁判所は情状により刑を減軽し又は免除することができる(任意的減免)
- 根拠条文
- 刑法36条2項
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(正当防衛)
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。