⚠ ひっかけパターン:効果・結論の逆転(損害賠償請求権の存否)
- ① どこが間違いか
- 契約解除をしても損害賠償の請求は妨げられない。「損害賠償の請求をすることができない」という記述が誤り
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民法545条3項は、「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」と明定している。すなわち、Aが売買契約を解除したとしても、Bの代金不払という債務不履行によって生じた損害についての賠償請求権は消滅せず、Aは契約解除と損害賠償請求の双方を行使することができる。本問では、解除によって損害賠償請求ができなくなるかのように記述されており、この点が誤りである。
- ③ 正しい記述
- AがBとの間で甲土地の売買契約を締結したが、Bが代金の支払を履行しなかったため、AがBに対して売買契約を解除した場合において、Aは、Bに対して損害賠償の請求をすることができる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 解除によって契約は遡及的に消滅するが、それは当事者間の原状回復義務を生じさせるものにとどまる(民法545条1項)。債務不履行によって相手方に生じた損害(例えば代金不払による転売利益の逸失など)は、解除によって填補されるわけではない。そのため、解除権行使によって損害賠償請求権が消えるとすると、債権者の実質的な救済が不十分となる。民法は解除と損害賠償を並立して行使できるものとし、債権者の保護を図っている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【解除しても損賠は残る】「契約を解除した=なかったことにした=損害賠償も消える」と誤解しやすい。しかし「解除は将来への切断、損賠は過去の損害の回復」と分けて考えると整理しやすい。民法545条3項の「解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない」という文言を条文ごとそのまま暗記するのが最も確実。
- 正しいルール
- 契約を解除した場合であっても、解除した当事者は相手方に対して損害賠償の請求をすることができる
- 根拠条文
- 民法545条3項
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(解除の効果)
当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。