⚠ ひっかけパターン:単独申請・共同申請の混同
- ① どこが間違いか
- 相続を原因とする所有権移転登記は登記権利者であるBが単独で申請することができ、Cとの共同申請は不要である
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 不動産登記法63条2項は、相続その他の一般承継による権利の移転の登記について、登記権利者が単独で申請することができると定めている。本問はAの死亡により相続が開始し、遺産分割協議によりBが甲土地を取得したという経緯であるが、この登記も「相続を原因とする」所有権移転登記に当たるため、Bが単独で申請することができる。被相続人であるAはすでに死亡しており、登記義務者となるべき者が存在しないから、そもそも共同申請という構造にはなじまない。Cは登記義務者とはならず、共同申請は不要である。
- ③ 正しい記述
- Aが死亡し、その相続人がB及びCの2名である場合において、B及びCの間で甲土地をBが単独で相続する旨の遺産分割協議が成立したときは、甲土地についてAからBへの所有権の移転の登記は、登記権利者であるBが単独で申請することができる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 相続は被相続人の死亡により法律上当然に生ずる包括承継であり、売買のような対立当事者間の意思の合致に基づく権利変動とは性質が異なる。被相続人はすでに死亡しているため共同申請の相手方となり得ず、戸籍謄本等の公的書類により相続関係や遺産分割の内容を客観的に証明できることも踏まえ、登記権利者の単独申請を認めることで相続登記の手続を円滑に進められるようにしている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【死人に義務なし】相続登記は被相続人がもはや申請主体になり得ないため単独申請と覚える。同じ単独申請でも「判決による登記(不動産登記法63条1項)」は勝訴した登記権利者が確定判決を得て単独申請できる別の場面であり、混同しないよう対比して整理する。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 相続登記の申請は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内にしなければならず、正当な理由なく怠ると過料の制裁を受ける。
- 相続人に対する遺贈による所有権移転登記は登記権利者が単独で申請することができるが、相続人以外の者に対する遺贈による所有権移転登記は受遺者と遺言執行者(又は相続人)との共同申請による。
- 法定相続分での相続登記後に遺産分割が成立した場合の所有権更正登記も、登記権利者が単独で申請することができる。
- 正しいルール
- 相続その他の一般承継による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる
- 根拠条文
- 不動産登記法63条2項
不動産登記法63条の条文を見るe-Gov法令API取得
(判決による登記等)
第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
2 相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。
3 遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)による所有権の移転の登記は、第六十条の規定にかかわらず、登記権利者が単独で申請することができる。
登記申請例を見る(記述対策)
| 登記の目的 | 所有権移転 |
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| 登記原因及びその日付 | 令和〇年〇月〇日相続 |
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| 申請人の氏名又は名称(権利者) | B |
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| 申請人の氏名又は名称(義務者) | なし(単独申請のため登記義務者は存在しない) |
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| 添付情報 | 登記原因証明情報(戸籍全部事項証明書 遺産分割協議書 Cの印鑑証明書等) 住所証明情報 代理権限証明情報 |
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| 登録免許税額 | 不動産の価額の1000分の4 |
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| 特記事項 | 登記権利者Bの単独申請。被相続人Aの登記識別情報の提供は不要である |
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令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。