司法書士ひっかけ選択肢トレーニング

2026年06月17日 06:56 商業登記法 - 株式会社の本店移転の登記

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問1 商業登記法 - 株式会社の本店移転の登記

次の選択肢は誤りです。
どこが・なぜ間違いか考えてください。

株式会社が、その本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合において、新所在地を管轄する登記所に移転の登記を申請するときは、当該申請書に定款を添付しなければならない。
⚠ ひっかけパターン:添付情報の要否の逆転(不要な書面を要するとする)
甲株式会社(申請人)旧所在地の登記所新所在地の登記所
  1. 1
    甲株式会社旧所在地の登記所
    ①旧所在地へ移転登記申請(議事録等を添付)
  2. 2
    甲株式会社新所在地の登記所
    ②新所在地へ移転登記申請(同一書面の重複添付不要・定款も不要)
① どこが間違いか
管轄外への本店移転登記において、新所在地の登記所への申請書に定款を添付する必要はない
② なぜ間違いか(根拠)
商業登記法51条1項は、本店を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、旧所在地を管轄する登記所及び新所在地を管轄する登記所の双方に移転の登記を申請しなければならないと定めている。そして、同条2項は、新所在地における登記の申請書には、旧所在地における登記の申請書に添付した書面と同一の書面を添付することを要しないと定めている。本店移転の登記に際して旧所在地の登記所への申請書には株主総会議事録(取締役会設置会社であれば取締役会議事録)等を添付するが、定款はそもそも旧所在地の申請書にも添付を要しないため、新所在地の申請書にも添付を要しない。したがって、新所在地への申請書に定款を添付しなければならないとする本問の記述は誤りである。
③ 正しい記述
株式会社が、その本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合において、新所在地を管轄する登記所に移転の登記を申請するときは、旧所在地を管轄する登記所への申請書に添付した書面と同一の書面は重ねて添付することを要せず、また、定款はそもそも本店移転登記の申請書への添付書面として要求されていないため、新所在地の申請書に定款を添付することを要しない。
④ なぜそのルール?(立法趣旨)
本店移転登記は、旧所在地と新所在地の双方に申請を要し、申請書類が重複することによる申請人の負担を軽減するため、新所在地への申請書には旧所在地の申請書に添付した書面と同一の書面の添付を不要としている。また、定款は会社の成立後に変更がなければ設立時の内容のままであり、本店移転の事由そのものを証明する書面ではないことから、本店移転登記の添付書面としては元来要求されていない。
⑤ 覚え方・記憶のコツ
【新所在地は省略OK・定款はそもそも不要】管轄外の本店移転は「旧→新」の二段階申請が必要だが、新所在地への申請書は「旧所在地に出したものと同じ書面は省略できる」と覚える。さらに「定款はそもそも本店移転登記の添付書面ではない」という点を合わせて押さえると、「新所在地に定款が必要」というひっかけに惑わされない。本店移転の添付書面の核心は『移転を決議した議事録(株主総会・取締役会)』である。
正しいルール
本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合、新所在地における登記の申請書には定款を添付する必要はなく、旧所在地における登記の申請書に添付した書面と同一の書面は重ねて添付することを要しない
根拠条文
商業登記法51条、会社法471条、会社法295条2項
商業登記法51条の条文を見るe-Gov法令API取得

(本店移転の登記) 本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。 2 前項の登記の申請と旧所在地における登記の申請とは、同時にしなければならない。 3 第一項の登記の申請書には、第十八条の書面を除き、他の書面の添付を要しない。

会社法471条の条文を見るe-Gov法令API取得

(解散の事由) 株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。   一 定款で定めた存続期間の満了   二 定款で定めた解散の事由の発生   三 株主総会の決議   四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)   五 破産手続開始の決定   六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判

会社法295条の条文を見るe-Gov法令API取得

(株主総会の権限) 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。 2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。 3 この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。

登記申請例を見る(記述対策)
登記の事由本店移転
登記すべき事項令和〇年〇月〇日本店移転
申請人甲株式会社
添付書面株主総会議事録 1通(本店移転を定款所定の本店所在地の範囲外とする場合)
取締役会議事録 1通(取締役会設置会社において取締役会で移転先を決定した場合)※新所在地の申請書には旧所在地の申請書に添付した書面と同一の書面の添付を要しない
登録免許税額金3万円(旧所在地・新所在地それぞれ)
特記事項本店を同一登記所の管轄区域内で移転する場合は1件の申請で足りる。管轄外移転の場合は旧所在地と新所在地の双方に申請を要し(商業登記法51条1項)、新所在地への申請書への重複添付は不要(同条2項)。

令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。

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