⚠ ひっかけパターン:添付情報の要否の逆転(市区町村長作成の印鑑証明書が不要なのに「要する」と記載)
- ① どこが間違いか
- 取締役会設置会社における取締役(代表取締役を除く)の就任の変更登記において、市区町村長作成の印鑑証明書の添付は不要である。登記所に提出済みの印鑑の印影と就任承諾書の印影が一致すれば足りる
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 商業登記規則61条4項は、取締役会設置会社の取締役(代表取締役を除く)が就任する場合、就任承諾書に押印した印鑑について市区町村長作成の印鑑証明書の添付は不要と定めている。これに対し、代表取締役や代表執行役が就任する場合は、就任承諾書に押印した印鑑につき市区町村長(外国人の場合は権限ある機関)が作成した印鑑証明書の添付が必要とされている(商業登記規則61条5項)。取締役(代表取締役を除く)については、登記所に提出済みの印鑑の印影と就任承諾書の印影が一致していれば本人確認として十分とされており、より重い証明が要求される代表者と区別されている。
- ③ 正しい記述
- 取締役会設置会社において、取締役(代表取締役を除く。)が新たに就任した場合の変更登記の申請書には、就任承諾書に押印した印鑑につき市区町村長が作成した印鑑証明書を添付することを要しない。登記所に提出した印鑑の印影が就任承諾書の印影と一致していれば足りる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 代表取締役は会社を代表して対外的に法律行為を行う権限を有するため、その就任の真正性について特に厳格な本人確認(市区町村長作成の印鑑証明書)が要求される。一方、代表権を持たない一般の取締役については、登記所に届け出た印鑑との照合という比較的簡便な方法で足りるとされており、手続の合理化と本人確認の実効性のバランスが図られている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【代表は市区町村、一般取締役は登記所】就任承諾書への印鑑証明書の添付が必要かどうかは「代表取締役か否か」で分ける。代表取締役=市区町村長の印鑑証明書が必要、一般取締役=登記所提出印鑑との照合でOK(市区町村長の印鑑証明書は不要)。「代表者だけ厳しく」と覚えると整理しやすい。
- 正しいルール
- 取締役会設置会社において、取締役(代表取締役を除く)が就任する場合、就任承諾書に押印した印鑑につき市区町村長が作成した印鑑証明書の添付は不要であり、登記所に提出した印鑑と就任承諾書の印影が一致していれば足りる(ただし、取締役が株主総会の議事録に直接就任承諾の旨を記録している場合を除く)
- 根拠条文
- 商業登記法54条4項、商業登記規則61条4項
商業登記法54条の条文を見るe-Gov法令API取得
(取締役等の変更の登記)
取締役、監査役、代表取締役又は特別取締役(監査等委員会設置会社にあつては監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役、代表取締役又は特別取締役、指名委員会等設置会社にあつては取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役)の就任による変更の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
2 会計参与又は会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 これらの者が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 これらの者が法人でないときは、会計参与にあつては会社法第三百三十三条第一項に規定する者であること、会計監査人にあつては同法第三百三十七条第一項に規定する者であることを証する書面
3 会計参与又は会計監査人が法人であるときは、その名称の変更の登記の申請書には、前項第二号に掲げる書面を添付しなければならない。ただし、同号ただし書に規定する場合は、この限りでない。
4 第一項又は第二項に規定する者の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。
商業登記規則61条の条文を見るe-Gov法令API取得
(添付書面)
定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
2 登記すべき事項につき次の各号に掲げる者全員の同意を要する場合には、申請書に、当該各号に定める事項を証する書面を添付しなければならない。
一 株主株主全員の氏名又は名称及び住所並びに各株主が有する株式の数(種類株式発行会社にあつては、株式の種類及び種類ごとの数を含む。次項において同じ。)及び議決権の数
二 種類株主当該種類株主全員の氏名又は名称及び住所並びに当該種類株主のそれぞれが有する当該種類の株式の数及び当該種類の株式に係る議決権の数
3 登記すべき事項につき株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には、申請書に、総株主(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の総株主)の議決権(当該決議(会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)の規定により当該決議があつたものとみなされる場合を含む。)において行使することができるものに限る。以下この項において同じ。)の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる株主であつて、次に掲げる人数のうちいずれか少ない人数の株主の氏名又は名称及び住所、当該株主のそれぞれが有する株式の数(種類株主総会の決議を要する場合にあつては、その種類の株式の数)及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面を添付しなければならない。
一 十名
二 その有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し、その加算した割合が三分の二に達するまでの人数
4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。
5 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。
6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。
8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
9 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
10 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第四百六十一条第二項に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。
11 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第四百四十八条第三項に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
登記申請例を見る(記述対策)
| 登記の事由 | 取締役の変更 |
|---|
| 登記すべき事項 | 令和〇年〇月〇日取締役A就任 |
|---|
| 申請人 | 甲株式会社 |
|---|
| 添付書面 | 株主総会議事録 1通、就任承諾書 1通(登記所届出印により押印したもの) |
|---|
| 登録免許税額 | 金3万円(資本金の額が1億円以下の会社は金1万円) |
|---|
| 特記事項 | 取締役(代表取締役を除く)の就任承諾書には、登記所に提出した印鑑の印影と一致する印鑑を押印すれば足り、市区町村長作成の印鑑証明書の添付は不要(商業登記規則61条4項)。代表取締役の就任の場合は市区町村長作成の印鑑証明書が必要となる点と対比して理解すること。 |
|---|
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。