論点供託法 - 執行供託(第三債務者の供託)
⚠ ひっかけパターン:対象・適用範囲の誤り(供託すべき金額の範囲)
- ① どこが間違いか
- 配当要求があった旨の文書の送達を受けた場合に供託義務があるのは、債権全額ではなく、差し押さえられた部分(60万円)に相当する金銭である。
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民事執行法156条2項は、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令等の送達を受けたときは債権の全額を供託しなければならないが、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは、差し押さえられた部分に相当する金銭を供託しなければならないと定める。本問では差押えは60万円であり、配当要求は差押えの競合を生じさせないため、供託すべきは60万円である。
- ③ 正しい記述
- AがBに対して有する100万円の金銭債権につき、Cから強制執行による差押え(差押金額60万円)がされた後、Cが提起した取立訴訟の訴状の送達を受ける時までに、Dから配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは、Bは、差し押さえられた部分に相当する60万円を供託しなければならない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 配当要求は、差押債権者の手続に参加して配当を受ける地位を得るにすぎず、差し押さえられていない部分(40万円)について新たな拘束を生じさせない。そのため、配当すべき原資である差押部分のみを供託させれば足りると考えられ、このように定められている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【差押えの競合は全額、配当要求は差押部分のみ】新たな差押え・仮差押えが差押部分以外にも及んで競合する場合は全額供託、配当要求は差押部分だけ供託と対比して覚える。権利供託(同条1項は全額)とも区別すること。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 第三債務者は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる(権利供託)。
- 第三債務者は、供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならず、この届出は供託官ではなく第三債務者がする。
- 第三債務者は、供託命令の送達を受けたときは、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
- 正しいルール
- 差押えに係る金銭債権の一部が差し押さえられた後、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは、第三債務者は、差し押さえられた部分に相当する金銭を供託しなければならない(債権全額ではない)
- 根拠条文
- 民事執行法156条
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(第三債務者の供託)
第三債務者は、差押えに係る金銭債権(差押命令により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この条及び第161条の二において同じ。)(…)の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託することができる。
2 第三債務者は、次条第1項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があつた旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
3 第三債務者は、第161条の二第1項に規定する供託命令の送達を受けたときは、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。
4 第三債務者は、前3項の規定による供託をしたときは、その事情を執行裁判所に届け出なければならない。
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令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。