⚠ ひっかけパターン:添付情報の要否の逆転(定款の添付が不要→必要と誤認させる)
- ① どこが間違いか
- 取締役が法律の規定(会社法478条2項)により当然に清算人となる場合、定款の添付は不要である
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 商業登記法73条は、清算人の登記の申請書に添付すべき書面を定めており、清算人が会社法478条1項1号の規定(定款の定め)により選任された場合には定款の添付が必要となる。しかし、会社法478条2項は、清算人の定めが定款にない場合に取締役が清算人となる旨を規定しており、この場合は定款に清算人に関する定めがないため、定款を添付しても清算人の資格を証する書面とはならず、定款の添付を要しない。清算人の登記の申請書に定款の添付が必要となるのは、定款によって清算人が定められている場合(会社法478条1項1号)に限られる。
- ③ 正しい記述
- 株式会社が株主総会の決議によって解散した場合において、会社法第478条第2項の規定により取締役が清算人となったときにする清算人の登記の申請書には、定款を添付することを要しない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 定款の添付が求められる趣旨は、定款に清算人の定めがあることを登記官が確認するためである。定款に清算人の定めがない場合に取締役が清算人となるのは会社法478条2項の規定によるものであり、この場合は法律の規定が根拠となるため、定款を確認する必要がなく、定款の添付を要しないとされている。添付書面は証明すべき事項との対応関係から必要性が判断されるという商業登記法の基本原則がここにも反映されている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【清算人の定款添付は「定款で決まった清算人のみ」】定款で清算人が定められている→定款で確認できる→定款を添付する、法律の規定(取締役が自動的になる)→定款に記載なし→定款を添付しても意味がない→不要、と流れで覚える。「定款に書いてあるから定款を出す、書いていないなら出さない」とシンプルに整理。
- 正しいルール
- 清算人の登記の申請書には、定款及び清算人が就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならないが、定款による清算人(会社法478条1項1号)の場合は、定款の添付を要しない
- 根拠条文
- 商業登記法73条、商業登記法46条
商業登記法73条の条文を見るe-Gov法令API取得
(清算人の登記)
清算人の登記の申請書には、定款を添付しなければならない。
2 会社法第四百七十八条第一項第二号又は第三号に掲げる者が清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
3 裁判所が選任した者が清算人となつた場合の清算人の登記の申請書には、その選任及び会社法第九百二十八条第一項第二号に掲げる事項を証する書面を添付しなければならない。
商業登記法46条の条文を見るe-Gov法令API取得
(添付書面の通則)
登記すべき事項につき株主全員若しくは種類株主全員の同意又はある取締役若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。
2 登記すべき事項につき株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。
3 登記すべき事項につき会社法第三百十九条第一項(同法第三百二十五条において準用する場合を含む。)又は第三百七十条(同法第四百九十条第五項において準用する場合を含む。)の規定により株主総会若しくは種類株主総会、取締役会又は清算人会の決議があつたものとみなされる場合には、申請書に、前項の議事録に代えて、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
4 監査等委員会設置会社における登記すべき事項につき、会社法第三百九十九条の十三第五項又は第六項の取締役会の決議による委任に基づく取締役の決定があつたときは、申請書に、当該取締役会の議事録のほか、当該決定があつたことを証する書面を添付しなければならない。
5 指名委員会等設置会社における登記すべき事項につき、会社法第四百十六条第四項の取締役会の決議による委任に基づく執行役の決定があつたときは、申請書に、当該取締役会の議事録のほか、当該決定があつたことを証する書面を添付しなければならない。
登記申請例を見る(記述対策)
| 登記の事由 | 清算人の変更 |
|---|
| 登記すべき事項 | 令和〇年〇月〇日解散 令和〇年〇月〇日清算人A就任 |
|---|
| 申請人 | 甲株式会社(清算人A) |
|---|
| 添付書面 | 株主総会議事録(解散決議) 1通、就任承諾書 1通、代理権限証明情報 1通(定款の添付は不要) |
|---|
| 登録免許税額 | 金1万円 |
|---|
| 特記事項 | 会社法478条2項により取締役が清算人となる場合、定款の添付は不要。定款に清算人の定めがある場合(会社法478条1項1号)にのみ定款の添付が必要となる点に注意。 |
|---|
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。