⚠ ひっかけパターン:例外規定(ただし書)の無視(全員の同意があれば招集手続を省略できるのに、常に招集通知を要するとした)
甲株式会社(取締役会設置会社)代表取締役A(招集権者)取締役B監査役C - 1
- 2
- 3
- ① どこが間違いか
- 取締役及び監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく取締役会を開催することができるのに、常に招集通知を発しなければならないとしている点が誤りである
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 会社法368条1項は、取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間前までに各取締役(監査役設置会社にあっては各取締役及び各監査役)に対して招集の通知を発しなければならないと定めている。もっとも、同条2項は、この規定にかかわらず、取締役(監査役設置会社にあっては取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく取締役会を開催することができると定めている。本問は、監査役設置会社である甲株式会社において取締役及び監査役の全員が同意しているにもかかわらず、なお招集通知を発しなければならないとしている点で誤りである。
- ③ 正しい記述
- 監査役設置会社であり取締役会設置会社である甲株式会社において、取締役及び監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく取締役会を開催することができる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 取締役会の招集通知は、各取締役・監査役に対して議題を検討し出席の機会を与えるための手続的保障として要求されるものである。しかし、関係者全員が既に開催に同意し出席する意思を有している場合にまで形式的な通知を強制する実益は乏しく、機動的な会議運営を可能にするため、全員の同意による招集手続の省略が認められている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【全員一致は手続省略の合言葉】株主総会の招集手続も株主全員の同意があれば省略できる(会社法300条ただし書)のと同様に、取締役会も取締役・監査役全員の同意があれば招集手続を省略できると覚える。ただし取締役会の書面決議(会社法370条)は「会議自体を開かずに決議があったとみなす」制度であり、368条2項の「招集手続の省略」とは別物である点に注意。
- ⑥ 本試験ではここも問われる(関連論点)
- 取締役会の招集通知は、原則として会日の1週間前までに発しなければならないが、この期間は定款で短縮することができる(会社法368条1項)。
- 取締役会の招集権者は原則として各取締役であるが、定款又は取締役会で招集権者を特定の取締役に定めることができる(会社法366条1項ただし書)。
- 招集権者以外の取締役は、招集権者に対して取締役会の招集を請求することができ、請求後一定期間内に招集通知が発せられないときは自ら取締役会を招集することができる(会社法366条2項・3項)。
- 正しいルール
- 取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる
- 根拠条文
- 会社法368条2項
会社法368条の条文を見るe-Gov法令API取得
(招集手続)
取締役会を招集する者は、取締役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各取締役(監査役設置会社にあっては、各取締役及び各監査役)に対してその通知を発しなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役及び監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。