⚠ ひっかけパターン:効果・結論の逆転(防衛の意思と攻撃の意思の並存に関する判例の結論の逆転)
- ① どこが間違いか
- 専ら攻撃の意思をもって反撃した場合は防衛の意思が認められず、正当防衛は成立しない
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 刑法36条1項は、急迫不正の侵害に対して自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は罰しないと規定している。判例(最判昭和50年11月28日)は、正当防衛の成立には防衛の意思が必要であるとしつつ、防衛の意思は侵害に対する憤激・興奮の感情と並存しうるとしている。しかし、専ら攻撃の意思をもって反撃した場合には防衛の意思が認められないため、客観的に防衛行為と認められる状況があったとしても正当防衛は成立しないとしている(最判昭和46年11月16日)。
- ③ 正しい記述
- 急迫不正の侵害に対し、専ら攻撃の意思をもって反撃を加えた場合には、防衛の意思が認められないため、客観的に防衛行為と認められる状況があっても、正当防衛は成立しない。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 正当防衛は「侵害から身を守るため」という趣旨に基づく違法性阻却事由であり、その本質は防衛のための行為に正当性を認めるものである。専ら攻撃の意思でなされた反撃は、いわば侵害を口実にした報復にすぎず、「防衛のためにやむを得ずにした」という正当防衛の実質的根拠を欠く。客観的な状況だけでなく主観的な防衛の意思も要求することで、正当防衛制度の濫用を防ぐ趣旨がある。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【防衛の意思は必要、ただし怒りと共存できる】判例の整理として「怒りながらでも防衛の意思はあり得る(並存可)→正当防衛〇」「最初から攻撃するつもり一色(専ら攻撃意思)→防衛の意思なし→正当防衛×」と二段階で覚える。「専ら」という言葉が出たら要注意のサインと意識するとよい。
- 正しいルール
- 正当防衛が成立するには急迫不正の侵害に対し自己又は他人の権利を防衛するためにやむを得ずした行為であることが必要であり、判例上、防衛の意思が必要とされるが、防衛の意思は侵害に対する憤激・興奮の感情と並存しうる
- 根拠条文
- 刑法36条1項
刑法36条の条文を見るe-Gov法令API取得
(正当防衛)
急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
2 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。