⚠ ひっかけパターン:効果・結論の逆転(差押えの効力発生時期の誤り)
- ① どこが間違いか
- 差押えの登記が差押命令の送達前にされたときは、登記がされた時に差押えの効力が生ずる。問題文の「登記がされた時に差押えの効力が生ずるのではなく、差押命令が債務者に送達された時に効力が生ずる」という部分が誤りである。
- ② なぜ間違いか(根拠)
- 民事執行法46条2項は、不動産の強制競売における差押えの効力について、原則として差押命令が債務者に送達された時に生ずると定めている。ただし、差押えの登記が差押命令の債務者への送達よりも先にされたときは、例外として登記がされた時に差押えの効力が生ずると定めている。これは、差押えの効力発生時期を画する重要な規定であり、登記が先行した場合には登記時を基準とすることで、第三者(後から登場する権利者等)との関係を明確にする趣旨である。本問は、登記が先行した場合にも送達時が基準となるかのように述べており、この例外規定を無視している点で誤りである。
- ③ 正しい記述
- 不動産に対する強制競売において、差押えの効力は、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記が差押命令の送達前にされたときは、その登記がされた時に差押えの効力が生ずる。
- ④ なぜそのルール?(立法趣旨)
- 不動産の差押えは、執行裁判所が差押命令を発し、裁判所書記官が登記所に差押えの登記を嘱託し、かつ差押命令を債務者に送達することによって手続が進む。登記と送達のどちらが先に行われるかは事案によって異なるため、いずれが早い時点を基準とするかが問題となる。登記が先に行われた場合には、不動産の権利関係を公示する登記の性質上、その時点を差押えの効力発生時期とすることが第三者保護の観点から合理的であり、登記が後になされた場合には送達時を基準として債務者への告知を重視する、という二段構造が採られている。
- ⑤ 覚え方・記憶のコツ
- 【早い者が基準】「送達と登記、どちらが早いか」で効力発生時期が決まると覚える。原則=送達時、例外=登記が先なら登記時、と整理し、「登記が先に来たらその登記時が基準になる(登記先行→登記基準)」と短くまとめると混同しにくい。試験では「差押えの効力は常に送達時に生ずる」という断定的な誤り選択肢が頻出なので注意すること。
- 正しいルール
- 不動産の強制競売における差押えの効力は、差押えの登記がされた時ではなく、差押命令が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記が差押命令の送達より前にされたときは、登記がされた時に効力が生ずる。
- 根拠条文
- 民事執行法46条2項
民事執行法46条の条文を見るe-Gov法令API取得
(差押えの効力)
差押えの効力は、強制競売の開始決定が債務者に送達された時に生ずる。ただし、差押えの登記がその開始決定の送達前にされたときは、登記がされた時に生ずる。
2 差押えは、債務者が通常の用法に従つて不動産を使用し、又は収益することを妨げない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。