論点行政法 - 行政手続法の処分等の求めと行政指導の中止等の求め
⚠ ひっかけパターン:要件の加重・緩和・欠落(申出の主体に係る要件の欠落=『当該行政指導の相手方』という限定を落とし、何人でも可とした)
🔍 行政指導の中止等の求めの主体
行政機関
指導の相手方A
第三者B
✅ 結論:中止等の求めは、行政指導の相手方に限られる
- ① どこが間違いか
- 「当該行政指導の相手方でなくても」という部分が誤り。行政指導の中止等の求め(行政手続法36条の2第1項)は、当該行政指導の相手方に限って行うことができる。『何人も』申出が可能なのは、行政手続法36条の3の処分等の求めである。
- ② なぜ間違いか
- 行政指導の中止等の求めは、行政指導によって現に不利益を受けるおそれがある相手方の権利利益を守るため、その相手方に申出の主体を限定している(行政手続法36条の2第1項)。一方、処分等の求め(行政手続法36条の3第1項)は、法令違反の事実を是正するための処分または行政指導が行われていない場合に、何人も、その是正のため必要な処分または行政指導をすることを求める申出ができる仕組みであり、申出の主体に限定がない。両者は、申出ができる主体の範囲が異なる。たとえば、行政指導を受けた事業者Aは行政指導の中止等の求めができるが、Aの取引先であって当該指導の相手方でないBは、指導の中止等を求める申出はできない。他方、Bは、別の事業者の法令違反について、行政庁に処分等の求めをすることができる。
- ③ 正しい記述
- 法令に違反する行政指導(その根拠が法律に規定されているものに限る。)を受けたと考える者は、当該行政指導をした行政機関に対し、その行政指導の中止その他必要な措置をとることを求める申出をすることができる。なお、この申出ができるのは、当該行政指導の相手方に限られる。
⚖ 対比で覚える:処分等の求めと行政指導の中止等の求め
| 行政指導の中止等の求め | 処分等の求め |
| 根拠条文 | 行政手続法36条の2 | 行政手続法36条の3 |
| 申出ができる者 | 当該行政指導の相手方 | 何人も |
| 対象となる行為 | 法律に基づく行政指導(規定違反) | 法令違反の是正のための処分・行政指導 |
| 申出の相手 | 当該行政指導をした行政機関 | 処分・行政指導をする権限を有する行政庁・行政機関 |
| 申出後の対応 | 必要な調査を行い、必要と認めるときは中止等の措置 | 必要な調査を行い、必要と認めるときは処分・行政指導 |
💡 なぜそのルールがあるのか行政指導の中止等の求めは、法律に基づく行政指導が法律の要件に適合しないにもかかわらず、事実上従わざるを得ない相手方を救済するための制度であり、不利益を受ける者に限定することで制度の趣旨を明確にしている。一方、処分等の求めは、違法状態の是正を行政に促し、行政の適正な運営を確保する端緒とするものであるため、広く何人にも認められている。
📌 覚え方のコツ「中止は当事者だけ、処分等は誰でも」と覚える。中止等の求め=『自分が受けた』指導をやめてもらう(だから相手方限定)。処分等の求め=『他人の違反』を何とかしてほしい(だから何人も)。申出の対象が『自分の被害』か『他者の違法状態』かで主体が分かれる、とイメージするとよい。
🎯 試験での問われ方『申出ができる者』を入れ替える形で出題されやすい。『中止等の求め』を『何人も』と、あるいは『処分等の求め』を『相手方に限り』と取り違えさせる形に注意。
- 正しいルール
- 行政指導の中止等の求めは、当該行政指導の相手方に限り行うことができる。これに対し、処分等の求めは、何人でも行うことができる(処分・行政指導をしていない行政庁・行政機関に対する是正のための申出)。
- 根拠条文
- 行政手続法36条の2第1項、行政手続法36条の3第1項
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(行政指導の中止等の求め)
法令に違反する行為の是正を求める行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)(…)の相手方は、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと思料するときは、当該行政指導をした行政機関に対し、その旨を申し出て、当該行政指導の中止その他必要な措置をとることを求めることができる。ただし、当該行政指導がその相手方について弁明その他意見陳述のための手続を経てされたものであるときは、この限りでない。
2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
1 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
2 当該行政指導の内容
3 当該行政指導がその根拠とする法律の条項
4 前号の条項に規定する要件
5 当該行政指導が前号の要件に適合しないと思料する理由
6 その他参考となる事項
3 当該行政機関は、第1項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、当該行政指導が当該法律に規定する要件に適合しないと認めるときは、当該行政指導の中止その他必要な措置をとらなければならない。
行政手続法36条の3の条文を見るe-Gov法令API取得
何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)(…)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
2 前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
1 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
2 法令に違反する事実の内容
3 当該処分又は行政指導の内容
4 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
5 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
6 その他参考となる事項
3 当該行政庁又は行政機関は、第1項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。