⚠ ひっかけパターン:訴訟類型・手続の混同(聴聞と弁明の機会の付与の入れ替え)
- ① どこが間違いか
- 「弁明の機会を付与」という部分が誤り。許認可等の取消しに必要な手続は「弁明の機会の付与」ではなく「聴聞」であり、この2つの手続を入れ替えるのが典型的なひっかけ
- ② なぜ間違いか
- 行政手続法13条1項1号は、不利益処分のうち「許認可等を取り消す処分」については、より手厚い手続として『聴聞』を行わなければならないと定めている。弁明の機会の付与(同条1項2号)は、聴聞が必要な場合以外の不利益処分に用いられる簡易な手続であり、許認可取消しには適用されない。聴聞は口頭審理・主宰者の選定・当事者の文書閲覧権など厳格な手続を踏むのに対し、弁明の機会は書面提出で足りる簡易な手続である。
- ③ 正しい記述
- 行政庁は、許認可等を取り消す不利益処分をしようとするときは、当該不利益処分の名あて人となるべき者に対し、聴聞を行わなければならない。
💡 なぜそのルールがあるのか許認可等の取消しは、相手方が既に適法に取得した地位・権利を剥奪する重大な処分であるため、より手厚い手続保障(聴聞)を設けることで、処分の公正性と相手方の防御権を確保することを目的としている。弁明の機会の付与は書面一枚の簡易手続であり、重大処分に対する保護としては不十分なためこの区別が設けられた。
📌 覚え方のコツ【許可取消し=聴聞(重大→重い手続)、その他=弁明(軽い→軽い手続)】と対比して覚える。「許認可を取り消すなんて大ごとだから、きちんと面と向かって話し合う『聴聞』が必要。書面一枚の『弁明』では足りない」とイメージすると混同しにくい。また、聴聞の『聴』は耳で聞く=口頭審理、弁明の『弁』は書面で弁解するだけ、と字の意味で区別するのも有効。
- 正しいルール
- 不利益処分のうち許認可等の取消しには聴聞を行わなければならず、その他の不利益処分には弁明の機会の付与で足りる
- 根拠条文
- 行政手続法13条1項1号・2号
行政手続法13条の条文を見るe-Gov法令API取得
(不利益処分をしようとする場合の手続)
行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
一 次のいずれかに該当するとき聴聞
二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき弁明の機会の付与
2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。