⚠ ひっかけパターン:除外規定・例外の無視
🔍 仮の義務付けの申立ての流れ
申請人Aさん
内閣総理大臣
✅ 結論:本案訴訟の提起なしに仮の義務付けは申立てできない
⚠=ひっかけポイント(試験で狙われる箇所)
- ① どこが間違いか
- 「義務付けの訴えの提起がなくとも申立てをすることができ」の部分と「内閣総理大臣の異議の制度の対象とはならない」の部分がいずれも誤り。
- ② なぜ間違いか
- 行政事件訴訟法37条の5第1項は、仮の義務付けを申し立てるには義務付けの訴えの提起が前提となることを明記しており、本案訴訟なしに単独で仮の義務付けを申し立てることはできない。また、同条4項は行政事件訴訟法27条(内閣総理大臣の異議)の規定を仮の義務付けについて準用しており、仮の義務付けも内閣総理大臣の異議の対象となる。したがって本肢は2つの点で誤っている。
- ③ 正しい記述
- 仮の義務付けは、義務付けの訴えの提起があった場合に限り申し立てることができ、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえるときに認められる。また、執行停止と同様、内閣総理大臣の異議の制度の対象となる。
⚖ 対比で覚える:執行停止と仮の義務付けの要件比較
| 執行停止 | 仮の義務付け |
| 前提となる訴訟 | 取消訴訟等の提起 | 義務付け訴訟の提起 |
| 損害の程度 | 重大な損害 | 償うことのできない損害 |
| 内閣総理大臣の異議 | 対象となる | 対象となる |
💡 なぜそのルールがあるのか仮の義務付けは本来行政庁が第一次的判断権を有する処分を裁判所が仮に命じる強力な制度であるため、本案訴訟の提起を前提とし、要件を執行停止より厳格にすることで、行政庁の権限行使への過度な介入を防ぎつつ、放置すれば回復困難な損害が生じる場合の救済を図る趣旨である。
📌 覚え方のコツ仮の義務付けは「本案あってこその仮の救済」と覚える。義務付け訴訟という本体がなければ、仮の措置だけを申し立てることはできない。また執行停止の仲間(仮の救済制度)は全て内閣総理大臣の異議の対象、とセットで記憶する。
🎯 試験での問われ方仮の義務付け・仮の差止めは、要件(本案訴訟の係属・償うことのできない損害・本案の理由)や内閣総理大臣の異議の準用の有無を「不要」「対象外」とする形で誤らせる出題がされやすい。
- 正しいルール
- 仮の義務付けは義務付け訴訟の提起を本案要件とし、償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ本案について理由があるとみえるときに認められる。また執行停止と同様、内閣総理大臣の異議の対象となる。
- 根拠条文
- 行政事件訴訟法37条の5第1項、行政事件訴訟法27条1項
行政事件訴訟法37条の5の条文を見るe-Gov法令API取得
(仮の義務付け及び仮の差止め)
義務付けの訴えの提起があつた場合において、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決がされないことにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずること(以下この条において「仮の義務付け」という。)ができる。
2 差止めの訴えの提起があつた場合において、その差止めの訴えに係る処分又は裁決がされることにより生ずる償うことのできない損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、本案について理由があるとみえるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、仮に行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずること(以下この条において「仮の差止め」という。)ができる。
3 仮の義務付け又は仮の差止めは、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるときは、することができない。
4 第25条第5項から第8項まで、第26条から第28条まで及び第33条第1項の規定は、仮の義務付け又は仮の差止めに関する事項について準用する。
5 前項において準用する第25条第7項の即時抗告についての裁判又は前項において準用する第26条第1項の決定により仮の義務付けの決定が取り消されたときは、当該行政庁は、当該仮の義務付けの決定に基づいてした処分又は裁決を取り消さなければならない。
行政事件訴訟法27条の条文を見るe-Gov法令API取得
(内閣総理大臣の異議)
第25条第2項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
2 前項の異議には、理由を附さなければならない。
3 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
4 第1項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
5 第1項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。
6 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第1項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。