⚠ ひっかけパターン:除外規定・例外の無視
🔍 監査役の権限と定款の定め
株式会社
定款の定め
監査役
✅ 結論:非公開で会計監査人のない会社は監査範囲を会計に限定できる
⚠=ひっかけポイント(試験で狙われる箇所)
- ① どこが間違いか
- 「定款の定めによっても会計に関するものに限定することはできない」という部分が誤り。「定款によっても〜できない」という断定が試験のひっかけワードである。
- ② なぜ間違いか
- 会社法381条1項により、監査役は取締役の職務の執行を監査する(業務監査権限を持つ)のが原則である。しかし会社法389条1項は、公開会社でも会計監査人設置会社でもない監査役設置会社については、定款で監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定めることができるとしている。この場合の監査役は、取締役会に出席して意見を述べる義務や取締役の違法行為の差止請求権など、業務監査を前提とした権限を有しない。たとえば、家族経営の小規模な非公開会社では、株主と経営者がほぼ同一で、業務の適否を外部から細かく監視する必要性が低いため、監査役には会計帳簿のチェックだけを任せるといった運用が可能になる。
- ③ 正しい記述
- 監査役は、取締役の職務の執行を監査する権限を有するが、公開会社でも会計監査人設置会社でもない株式会社では、定款の定めにより、その権限を会計に関するものに限定することができる。
⚖ 対比で覚える:監査役の権限:原則と会計限定の場合
| 原則(業務監査権限あり) | 会計監査に限定した場合 |
| 監査の範囲 | 取締役の職務執行全般 | 会計に関するもののみ |
| 定款の定め | 不要 | 限定する旨の定めが必要 |
| 適用できる会社 | すべての監査役設置会社 | 公開会社・会計監査人設置会社は不可 |
| 取締役会での意見陳述義務 | あり | なし |
💡 なぜそのルールがあるのか株主と経営者が一致しがちな小規模・閉鎖的な会社では、業務全般への監視の必要性が低く、業務監査まで求めると負担が過大になるため、会社の実情に応じて監査範囲を限定できるようにした。一方、株主が多数で経営者と分離しやすい公開会社では、株主保護のため業務監査権限の限定は認められない。
📌 覚え方のコツ「監査役は原則フルセット(業務+会計)、ただし『小さな閉じた会社』だけ会計限定OK」と覚える。限定できない会社は「公開会社」と「会計監査人設置会社」の2つ(=人の目が大勢、またはプロの会計監査がある会社)。「公開はダメ、会計監査人がいてもダメ」と対にして覚えるとよい。
🎯 試験での問われ方「定款の定めによっても限定できない」と断定したり、「公開会社でも限定できる」と除外要件を落としたりする形で出題されやすい。
- 正しいルール
- 監査役の権限を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社(公開会社及び会計監査人設置会社を除く。)の監査役は、業務監査権限を有せず、会計監査のみを行う
- 根拠条文
- 会社法389条1項、会社法381条1項、会社法389条7項
会社法381条の条文を見るe-Gov法令API取得
(監査役の権限)
監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)(…)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
2 監査役は、いつでも、取締役及び会計参与並びに支配人その他の使用人に対して事業の報告を求め、又は監査役設置会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監査役は、その職務を行うため必要があるときは、監査役設置会社の子会社に対して事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
4 前項の子会社は、正当な理由があるときは、同項の報告又は調査を拒むことができる。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。