⚠ ひっかけパターン:除外規定・例外の無視
🔍 義務付け訴訟の類型と要件の違い
近隣住民Aさん
行政庁
申請者Bさん
✅ 結論:非申請型のみ重大な損害と補充性の両方を満たす必要がある
⚠=ひっかけポイント(試験で狙われる箇所)
- ① どこが間違いか
- 「いずれについても」という部分が誤り。申請型義務付け訴訟には重大な損害・補充性の要件は課されていない
- ② なぜ間違いか
- 行政事件訴訟法37条の2第1項は非申請型義務付け訴訟について『重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないとき』に限り提起できると定めているが、行政事件訴訟法37条の3第1項が定める申請型義務付け訴訟には、このような重大な損害・補充性の要件は課されていない。申請型は既に申請という法的な手続開始行為があるため、非申請型のような厳格な絞り込みは不要とされている。
- ③ 正しい記述
- 非申請型義務付け訴訟は「重大な損害を生ずるおそれ」及び「補充性」の両方を満たす必要があるが、申請型義務付け訴訟にはこれらの要件は課されていない。
⚖ 対比で覚える:非申請型義務付け訴訟と申請型義務付け訴訟の違い
| 非申請型義務付け訴訟 | 申請型義務付け訴訟 |
| 根拠条文 | 行政事件訴訟法37条の2 | 行政事件訴訟法37条の3 |
| 重大な損害の要件 | 必要 | 不要 |
| 補充性の要件 | 必要 | 不要 |
| 前提となる申請の有無 | 申請不要 | 申請が前提 |
💡 なぜそのルールがあるのか非申請型義務付け訴訟は、行政庁に対してこれまで存在しなかった申請すら経ずに一定の処分を義務付けるという強力な訴訟類型であるため、濫用を防ぎ他の救済手段との調整を図る観点から、重大な損害・補充性という厳格な訴訟要件が課されている。一方、申請型は申請に対する不作為や拒否処分という既存の行政過程を前提とするため、そこまでの絞り込みは不要と考えられている。
📌 覚え方のコツ「非申請型は“いきなり義務付け”だから厳しい要件(重大な損害+補充性)が必要、申請型は“もう申請済み”だから緩やか」と対比して覚える。非申請型=ハードルが高い、申請型=ハードルが低い、とセットで記憶する。
🎯 試験での問われ方「義務付け訴訟は申請型・非申請型を問わず重大な損害の要件を満たす必要がある」という形で、例外(申請型には要件が課されない)を無視する形で出題されやすい。
- 正しいルール
- 非申請型義務付け訴訟の提起には「重大な損害を生ずるおそれ」があり、かつ「補充性(その損害を避けるため他に適当な方法がないこと)」の両方を満たす必要があるが、申請型義務付け訴訟にはこれらの訴訟要件は課されていない
- 根拠条文
- 行政事件訴訟法37条の2第1項、行政事件訴訟法37条の3第1項
行政事件訴訟法37条の2の条文を見るe-Gov法令API取得
(義務付けの訴えの要件等)
第3条第6項第1号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 第1項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第9条第2項の規定を準用する。
5 義務付けの訴えが第1項及び第3項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
行政事件訴訟法37条の3の条文を見るe-Gov法令API取得
第3条第6項第2号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、次の各号に掲げる要件のいずれかに該当するときに限り、提起することができる。
1 当該法令に基づく申請又は審査請求に対し相当の期間内に何らの処分又は裁決がされないこと。
2 当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合において、当該処分又は裁決が取り消されるべきものであり、又は無効若しくは不存在であること。
2 前項の義務付けの訴えは、同項各号に規定する法令に基づく申請又は審査請求をした者に限り、提起することができる。
3 第1項の義務付けの訴えを提起するときは、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める訴えをその義務付けの訴えに併合して提起しなければならない。この場合において、当該各号に定める訴えに係る訴訟の管轄について他の法律に特別の定めがあるときは、当該義務付けの訴えに係る訴訟の管轄は、第38条第1項において準用する第12条の規定にかかわらず、その定めに従う。
1 第1項第1号に掲げる要件に該当する場合同号に規定する処分又は裁決に係る不作為の違法確認の訴え
2 第1項第2号に掲げる要件に該当する場合同号に規定する処分又は裁決に係る取消訴訟又は無効等確認の訴え
4 前項の規定により併合して提起された義務付けの訴え及び同項各号に定める訴えに係る弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない。
5 義務付けの訴えが第1項から第3項までに規定する要件に該当する場合において、同項各号に定める訴えに係る請求に理由があると認められ、かつ、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決につき、行政庁がその処分若しくは裁決をすべきであることがその処分若しくは裁決の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分若しくは裁決をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、その義務付けの訴えに係る処分又は裁決をすべき旨を命ずる判決をする。
6 第4項の規定にかかわらず、裁判所は、審理の状況その他の事情を考慮して、第3項各号に定める訴えについてのみ終局判決をすることがより迅速な争訟の解決に資すると認めるときは、当該訴えについてのみ終局判決をすることができる。この場合において、裁判所は、当該訴えについてのみ終局判決をしたときは、当事者の意見を聴いて、当該訴えに係る訴訟手続が完結するまでの間、義務付けの訴えに係る訴訟手続を中止することができる。
7 第1項の義務付けの訴えのうち、行政庁が一定の裁決をすべき旨を命ずることを求めるものは、処分についての審査請求がされた場合において、当該処分に係る処分の取消しの訴え又は無効等確認の訴えを提起することができないときに限り、提起することができる。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。