論点民法 - 離婚後の共同親権における親権の共同行使と単独行使
⚠ ひっかけパターン:原則・例外の逆転/看過(共同行使の原則だけを強調し、単独行使が認められる例外を無視する)
🔍 共同親権者の日常の養育
父Aさん
母Bさん
子Cさん
✅ 結論:日常の行為は父母の一方が単独で行使できる
- ① どこが間違いか
- 「監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使であっても、父母の一方が単独ですることはできない」という部分が誤り。「共同してしなければならない」という原則を、例外を無視して日常の行為にまで貫いている点がひっかけ。
- ② なぜ間違いか
- 令和6年改正(令和8年4月1日施行)後の民法は、父母の双方が親権者であるときは、親権は父母が共同して行うことを原則とする(民法824条の2)。ただし、これには例外がある。その一方のみが親権者であるとき、他の一方が親権を行うことができないとき、子の利益のため急迫の事情があるときは、一方が親権を行う。また、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使は、父母の一方が単独ですることができる。日常の行為にまで常に共同行使を求めると、日々の養育のたびに父母の合意が必要になり、子の生活に支障が生じるためである。具体例として、日々の食事・衣服の世話、通常の学校行事への参加、短期間の旅行などは日常の行為にあたり、単独で決められる。一方、進学先の決定、転居、重大な医療行為などは日常の行為にあたらず、原則として共同で行う。父母間で協議が調わない場合は、子の利益のため必要があるときに、家庭裁判所が特定の事項について父母の一方が単独で行使できる旨を定めることがある。
- ③ 正しい記述
- 父母の双方が親権者である場合には、親権の行使は父母が共同してしなければならない。ただし、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使は、父母の一方が単独ですることができる。
⚖ 対比で覚える:共同行使と単独行使の区別
| 共同行使が必要 | 単独行使が可能 |
| 日常の行為 | (対象外) | 食事・服・普段の世話 |
| 重要事項 | 進学・転居・重大な医療 | 家庭裁判所が単独行使を定めた場合 |
| 急迫の事情 | (対象外) | 子の利益のため急迫のとき |
| 一方が行使不能 | (対象外) | 他の一方が親権を行えないとき |
💡 なぜそのルールがあるのか共同親権の下でも、日々の養育に関する細かな事柄まで父母の合意を要求すると、子の生活が滞り、かえって子の利益を損なうため。重要事項は共同、日常の事柄は単独と区分して、子の利益と父母双方の関与のバランスを図っている。
📌 覚え方のコツ「大事なことは二人で、日々のことは一人でOK」と覚える。重要事項(進学・転居・重大な医療)は共同、日常(食事・服・普段の世話)は単独、というイメージ。「共同が原則」でも「常に」「一切」といった断定には例外があると疑うのがコツ。
🎯 試験での問われ方「原則は共同行使」という点だけを覚えて「例外はない」と思い込ませる形(「常に」「いかなる場合も」の付加)で出題されやすい。単独で行使できる場面の区別が問われる。
- 正しいルール
- 父母が共同して親権を行う場合でも、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使は、父母の一方が単独ですることができる。
- 根拠条文
- 民法824条の2
民法824条の2の条文を見るe-Gov法令API取得
(親権の行使方法等)
親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
1 その一方のみが親権者であるとき。
2 他の一方が親権を行うことができないとき。
3 子の利益のため急迫の事情があるとき。
2 父母は、その双方が親権者であるときであっても、前項本文の規定にかかわらず、監護及び教育に関する日常の行為に係る親権の行使を単独ですることができる。
3 特定の事項に係る親権の行使(第1項ただし書又は前項の規定により父母の一方が単独で行うことができるものを除く。)(…)について、父母間に協議が調わない場合であって、子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、父又は母の請求により、当該事項に係る親権の行使を父母の一方が単独ですることができる旨を定めることができる。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。