⚠ ひっかけパターン:主体の入れ替え
🔍 執行停止の申立ての流れ
原告(処分の相手方)
処分庁
✅ 結論:執行停止を申し立てるのは処分庁ではなく原告である
⚠=ひっかけポイント(試験で狙われる箇所)
- ① どこが間違いか
- 『被告である処分庁の申立てにより』という部分が誤り。執行停止の申立てをするのは処分庁ではなく原告である。
- ② なぜ間違いか
- 行政事件訴訟法25条2項は「処分の取消しの訴えの提起があった場合において…重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより…処分の効力…の全部又は一部の停止…をすることができる」と規定しているが、この申立てをするのは取消訴訟の原告(処分の相手方など)である。処分庁が自ら執行停止を申し立てるという制度は存在しない。処分庁は執行停止の決定に対して即時抗告をしたり(同法25条8項)、内閣総理大臣が異議を述べる制度(同法27条)はあるが、処分庁自身が執行停止を申し立てることはない。
- ③ 正しい記述
- 取消訴訟が提起された場合において、処分の執行により重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、原告の申立てにより、裁判所は執行停止をすることができる。
⚖ 対比で覚える:執行停止と内閣総理大臣の異議の対比
| 執行停止 | 内閣総理大臣の異議 |
| 主体 | 原告の申立て | 内閣総理大臣が異議を述べる |
| 対象 | 裁判所が決定 | 裁判所の執行停止決定に対して |
| 効果 | 処分の効力等を停止 | 執行停止できない、または取り消す |
💡 なぜそのルールがあるのか執行不停止の原則(行政事件訴訟法25条1項)の下では処分は訴訟提起後も効力を維持するため、原告に回復困難な損害が生じるおそれがある。そこで、処分を受けた者(原告)を救済する手段として執行停止の申立権を原告に認め、行政の円滑な執行と国民の権利保護のバランスを図っている。
📌 覚え方のコツ執行停止は『処分で困っている人(原告)が助けを求める制度』とイメージすると覚えやすい。処分庁はもともと処分を維持したい側なので、自ら執行停止を申し立てる理由がないと考えれば自然に区別できる。
🎯 試験での問われ方執行停止の申立権者を処分庁や第三者に入れ替えて誤りとする出題がされやすい。『原告の申立てにより』という主体部分に注意して読むこと。
- 正しいルール
- 執行停止の申立ては原告からなされ、裁判所は本案について理由がないとみえるとき等は執行停止をすることができない
- 根拠条文
- 行政事件訴訟法25条2項、行政事件訴訟法25条4項
行政事件訴訟法25条の条文を見るe-Gov法令API取得
(執行停止)
処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
5 第2項の決定は、疎明に基づいてする。
6 第2項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
7 第2項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8 第2項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。