論点権利関係 - 根抵当権(手形上の請求権を被担保債権とした場合の支払停止後の行使制限)
⚠ ひっかけパターン:効果・効力の誤り
- 1
B(債務者)→A(根抵当権者)
根抵当権設定(回り手形も対象)
- 2
Bが支払を停止
- 3
C(手形所持人)→A(根抵当権者)
手形を譲渡(Aは善意)
- 4
善意取得のため根抵当権を行使できる
- ① どこが間違いか
- 支払停止の後に取得した手形でも、その事実を知らずに取得したものは、根抵当権を行使できる。
- ② なぜ間違いか
- 正しくは、支払停止の事実を知らないで取得した手形上の請求権については、根抵当権を行使できる。民法398条の3第2項は、支払停止などの事由後に取得したものは行使できないとしつつ、ただし書で、その事由を知らないで取得したものは行使を妨げないと定めている。本肢は善意取得のただし書を無視し、行使不可と断定している点が誤りである。
- ③ 正しい記述
- Bが支払を停止した後にAが当該手形を取得した場合でも、Aがその支払停止の事実を知らずに取得したときは、その手形上の請求権について根抵当権を行使することができる。
- ④ なぜこのルールがあるのか
- 債務者の信用が悪化した後に、根抵当権者が安く買い集めた手形を担保枠に取り込むと、他の債権者が害されます。そこで取得時期による制限を設けました。一方、事情を知らない取得者まで制限すると取引の安全を害するため、善意者は保護されます。
危機事由後に取得した回り手形の扱い
| 取得時期・態様 | 根抵当権の行使 |
| 事由の前に取得 | 行使できる |
| 事由後・善意で取得 | 行使できる |
| 事由後・悪意で取得 | 行使できない |
🎯 試験での問われ方
「支払停止後に取得した手形は、善意であっても行使できない」と、ただし書を落とした肢が出やすいです。「その前に取得したものに限り」という言い回しに注意しましょう。
★ 覚え方:「危機の後に取得した回り手形は原則ダメ、でも知らなければOK」と覚えましょう。善意=救済のただし書がセットです。
- 正しいルール
- 債務者との取引によらずに取得した手形上の請求権を担保すべき債権とした場合、債務者の支払停止等の事由後に取得したものは、その事由を知らずに取得したものに限り行使できる
- 根拠条文
- 民法398条の3第2項
民法398条の3の条文を見るe-Gov法令API取得
(根抵当権の被担保債権の範囲)
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができる。
2 債務者との取引によらないで取得する手形上若しくは小切手上の請求権又は電子記録債権を根抵当権の担保すべき債権とした場合において、次に掲げる事由があったときは、その前に取得したものについてのみ、その根抵当権を行使することができる。ただし、その後に取得したものであっても、その事由を知らないで取得したものについては、これを行使することを妨げない。
一 債務者の支払の停止
二 債務者についての破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始又は特別清算開始の申立て
三 抵当不動産に対する競売の申立て又は滞納処分による差押え
令和9年(2027年)4月1日施行の法令を参考にしています。