⚠ ひっかけパターン:主体の入れ替え・義務と任意の混同
- ① どこが間違いか
- 「規準として取引を行わなければならない」という義務的記述が誤り。土地取引の当事者は公示価格を「指標として取引を行うよう努めなければならない」にとどまる。また「規準」という強い義務は不動産鑑定士による鑑定評価の場面に適用されるものであり、一般の取引当事者には課されない。
- ② なぜ間違いか
- 地価公示法9条は、不動産鑑定士が公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合に「公示価格を規準としなければならない」と定めている。一方、一般の土地取引当事者については、地価公示法8条において「公示価格を指標として取引を行うよう努めなければならない」と定めており、あくまで努力義務(〜するよう努める)にとどまる。本問は「規準として取引を行わなければならない」と断定しており、①主体(取引当事者)と②義務の強度(努力義務→強制義務)の二点が誤りである。
- ③ 正しい記述
- 土地の取引を行う者は、取引の対象となる土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地の公示価格を指標として取引を行うよう努めなければならない(強制義務ではなく努力義務)。なお、「規準としなければならない」という義務は、不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合に課されるものである。
- ④ なぜこのルールがあるのか
- 地価公示制度は、国が毎年標準地の正常な価格(公示価格)を公表することで、土地市場に価格の「物差し」を提供し、取引の透明性・安定性を高めることを目的としています。ただし、一般の売買当事者に対して公示価格への厳格な拘束を課してしまうと、市場の自由な価格形成が妨げられるおそれがあるため、あくまで「指標として努力する」にとどめています。一方、専門家である不動産鑑定士には高い精度の評価が求められるため、鑑定評価においては「規準としなければならない」という強い義務が課されています。
★ 覚え方:「取引当事者=努力義務(指標)」「不動産鑑定士=強制義務(規準)」と主体とセットで覚えよう。「規準」という強い言葉はプロ(鑑定士)専用、一般人は「指標として努める」だけ、と場面を分けてイメージするのがコツ!
- 正しいルール
- 不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合、公示価格を規準としなければならない。土地取引の当事者は、公示価格を「指標」とするよう努めなければならないが、「規準」とする義務はない。
- 根拠条文
- 地価公示法1条、地価公示法8条、地価公示法9条
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(目的)
この法律は、都市及びその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もつて適正な地価の形成に寄与することを目的とする。
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(不動産鑑定士の土地についての鑑定評価の準則)
不動産鑑定士は、公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において、当該土地の正常な価格(第二条第二項に規定する正常な価格をいう。)を求めるときは、第六条の規定により公示された標準地の価格(以下「公示価格」という。)を規準としなければならない。
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(公共事業の用に供する土地の取得価格の算定の準則)
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)その他の法律によつて土地を収用することができる事業を行う者は、公示区域内の土地を当該事業の用に供するため取得する場合(当該土地に関して地上権その他当該土地の使用又は収益を制限する権利が存する場合においては、当該土地を取得し、かつ、当該権利を消滅させる場合)において、当該土地の取得価格(当該土地に関して地上権その他当該土地の使用又は収益を制限する権利が存する場合においては、当該権利を消滅させるための対価を含む。)を定めるときは、公示価格を規準としなければならない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。