⚠ ひっかけパターン:義務・任意の混同
- ① どこが間違いか
- 「審査請求人からの申立てがなければ、職権によって執行停止をすることはできない」という部分が誤り。「申立てがなければできない」という限定が試験のひっかけポイント。
- ② なぜ間違いか
- 行政不服審査法25条2項は、審査庁は審査請求人の申立てがあった場合に執行停止ができると定めているが、行政不服審査法25条1項は「審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない」という原則を規定するにとどまる。さらに同条2項とは別に、同条3項は「処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てがなくても、職権で執行停止をすることができる」と定めており、職権による執行停止は明示的に認められている。したがって、申立てがなければ職権行使ができないとする問題文は誤りである。
- ③ 正しい記述
- 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てがなくても、職権で執行停止をすることができる(行政不服審査法25条3項)。
💡 なぜそのルールがあるのか執行停止の職権発動を認めることで、審査請求人が申立てを忘れた場合や法的知識が乏しい場合にも、行政側が自発的に違法・不当な処分の執行を止める機会を確保し、国民の権利救済を実質的に厚くするための規定である。行政の自己是正機能を促進する趣旨もある。
📌 覚え方のコツ執行停止のパターンは「申立てがあれば審査庁(原則)+申立てがなくても職権OK(処分庁の上級庁・処分庁審査庁)」と整理する。『申立て不要で職権OK』なのは上級庁・処分庁審査庁だけ、と覚えると混乱しにくい。申立てが『あれば』→誰でもOK、申立てが『なくても』→上級庁・処分庁審査庁に限る、と対比して記憶しよう。
- 正しいルール
- 審査請求は原則として処分の効力等に影響を与えないが、審査庁は申立てがあった場合に限らず職権でも執行停止をすることができる。ただし、審査請求人からの申立てがない限り執行停止を行うことはできないとする規定は存在しない。
- 根拠条文
- 行政不服審査法25条1項・2項
行政不服審査法25条の条文を見るe-Gov法令API取得
(執行停止)
審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。