宅建試験の建築基準法で、道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限とセットで問われる「天空率」。「斜線制限をクリアしなくても、天空率の基準を満たせば建築できる」という制度ですが、仰角や立体角といった言葉が並ぶ2D図解ではイメージがつかみにくく、苦手にしている受験生が多い論点です。
このページでは、指で回転・拡大できる3Dモデルと音声解説を使って、天空率のしくみを立体的に理解できるようにしました。すべてスマホ対応・無料で、アプリのインストールも不要です。
※このページは「3Dで分かる建築基準法」シリーズの1テーマです。他のテーマ(道路斜線制限・隣地斜線制限など)はまとめページから確認できます。
天空率とは?まず結論から
天空率とは、ある地点(測定点)から真上を見上げたときに、建物にさえぎられずに見える空の割合のことです。道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限は、これらの基準を満たさなくても、天空率の基準を満たせば適用が除外されるという代替ルールです(建築基準法56条7項)。
試験対策としてのポイントは次の4つです。
- 比較するのは、計画建築物(実際に建てたい建物)と適合建築物(斜線制限にちょうど沿うように建てた、比較用の仮想の建物)の天空率
- 計画建築物の天空率が、同じ測定点における適合建築物の天空率以上であれば、その斜線制限は適用されない(=斜線をはみ出して建築できる)
- 測定点は1か所だけではなく、道路の反対側の境界線上などに規定の間隔で複数設置され、すべての測定点で天空率をクリアする必要がある
- 天空率は道路斜線・隣地斜線・北側斜線のすべてに適用できる代替基準(対象は斜線制限であり、建蔽率や容積率、絶対高さ制限などは別途守る必要がある)
【3Dモデル】天空率のしくみを比較で見る
下のモデルは、幅員6mの道路に面した敷地の例です。金色が道路斜線にぴったり沿った「適合建築物」、青色が手前を低く抑えつつ奥を細いタワー状にして高く伸ばした「計画建築物」です。道路の反対側の境界線上に3つの測定点(P1〜P3)を置き、それぞれの地点から見上げた空の広さを計算しています。
下に表示される丸い図が「天空図」です。円の中心が真上(天頂)、外周が地平線を表し、色のついた部分が建物でさえぎられて見えない範囲、白い部分が実際に見える空です。適合建築物は道路際まで壁があるため、天空図では低い位置に幅広く色がつきます。一方の計画建築物は、手前が低くタワーも細いため、色がつくのは中央の狭いとがった範囲だけ——同じくらい、あるいはそれ以上に空が広く見えていることが、図形の面積からも直感的にわかります。
「▶ 音声つきで解説を聞く」を押すと、適合建築物だけ→計画建築物だけ→両方の比較、の順で自動的に解説してくれます。P1〜P3のボタンで測定点を切り替えたり、建物の表示・非表示を個別に切り替えたりもできます。
なぜ「セットバック+タワー型」だと天空率が有利になるのか
ポイントは、建物のシルエットを測定点からどう見せるかです。道路斜線にぴったり沿った適合建築物は、道路際から一定の勾配でせり出してくるため、低い角度(地平線に近い方向)の空を広く覆ってしまいます。一方、手前を大きく後退させ、奥のボリュームを細く絞って高く伸ばした計画建築物は、低い角度の空をほとんど覆わず、覆うのは真上に近い狭い範囲だけです。
結果として、計画建築物の方が高さそのものは道路斜線を大きく超えていても、測定点から見た「空の広さ」では適合建築物に見劣りしない——これが、超高層マンションなどで低層部を後退させ、タワー部分を細く高く設計する理由の一つです。
試験ではこう出る!頻出ひっかけパターン
- 「天空率は道路斜線制限にしか使えない」→誤り。道路斜線・隣地斜線・北側斜線のいずれにも適用できる代替基準
- 「天空率さえクリアすれば、高さの制限を一切受けない」→誤り。天空率で除外されるのはあくまで斜線制限。絶対高さ制限や日影規制など、他の高さ関連規定は別途適用される
- 「適合建築物とは、実際に隣に建っている建物のこと」→誤り。適合建築物は、その敷地に斜線制限をちょうど満たすように当てはめた仮想の建築物で、実在の隣家とは関係ない
- 「天空率の判定は、敷地につき1地点だけ計算すればよい」→誤り。測定点は規定の間隔で複数設置され、そのすべての地点で計画建築物の天空率が適合建築物以上である必要がある
Q. モデル内の天空率の数値は、実際の建築確認申請と同じ計算方法ですか?
いいえ。実際の天空率は、法令で定められた投影方法にもとづき、専用ソフトで精密に算出します。このモデルは「測定点から見上げた空の広さ」という考え方を直感的につかむための簡略化した近似計算です。数値の傾向(計画建築物が適合建築物以上かどうか)はモデルどおりですが、実務の数値とは一致しませんのでご注意ください。
Q. 天空率と斜線制限は、どちらを使うか選べるのですか?
はい。斜線制限をそのまま守って設計するか、天空率の計算をして代替適用を受けるかは設計者が選択できます。天空率の計算には測量や専用ソフトでの検証が必要になるため、狭小地や高層建築物など、斜線制限のままでは計画が成立しにくい場合に活用されることが多い制度です。
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