(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
令和6年5月24日 施行
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/20240524_506AC0000000033
不動産質権は、登記をしなければ、第三者に対抗できない
最判昭31・4・24
判示事項
一 国税滞納処分による差押と民法第177条
二 登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有しない第三者の範囲
三 国税滞納処分による不動産差し押えの場合における国の登記欠缺の主張が正当の利益がないとはいえないとされた一事例
裁判要旨
一 国税滞納処分による差押については、民法第177条の適用があるものと解すべきである。
二 登記の欠缺を主張する第三者がこれを主張するにつき正当の利益を有しない場合とは、当該第三者に、不動産登記法第4条第5条により登記の欠缺を主張することの許されない事由がある場合、その他これに類するような、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事由がある場合に限るものと解すべきである。
三 国が国税滞納者に対する滞納処分として登記簿上滞納者名義の不動産を差し押えた場合において、差押の約3年6箇月前に右不動産の譲受人から移転登記の未経由にかかわらず該不動産がその所有に属する旨の財産申告を受け、これを前提として財産税を徴収した事実があつても、それだけでは、国は、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者にあたらないとはいえない。
参照法条
民法177条,国税徴収法10条
最判昭28・2・18
判示事項
自作農創設特別措置法による農地買収処分と民法第177条
裁判要旨
自作農創設特別措置法による農地買収処分については、民法第177条は適用がない。少数意見および補足意見がある。
参照法条
自作農創設特別措置法3条1項,民法177条
最判平8・10・29
判示事項
背信的悪意者からの転得者と民法177条の第三者
裁判要旨
所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、甲から丙が当該不動産を二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができる。
参照法条
民法177条
最判昭39・3・6
判示事項
不動産の遺贈と民法第177条の第三者。
裁判要旨
甲からその所有不動産の遺贈を受けた乙がその旨の所有権移転登記をしない間に、甲の相続人の一人である丙に対する債権者丁が、丙に代位して同人のために前記不動産につき相続による持分取得の登記をなし、ついでこれに対し強制競売の申立をなし、該申立が登記簿に記入された場合においては、丁は、民法第177条にいう第三者に該当する。
《不動産の遺贈を受けた者はその旨の所有権移転登記をしなければ第三者に対抗することができない》
参照法条
民法177条

