(虚偽表示)
第94条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
令和6年5月24日 施行
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/20240524_506AC0000000033
善意の第三者が無効を主張することは可能
最判昭45・7・24
判示事項
一、不動産の所有者が他人名義を使用して不実の登記を経由した場合における民法94条2項の類推適用
二、民法94条2項にいう善意の第三者
裁判要旨
一、不動産の所有者甲が、乙にその所有権を移転する意思がないのに、乙名義を使用して他からの所有権移転登記を受けたときは、右登記について乙の承諾がない場合においても、民法94条2項を類推適用して、甲は、乙が不動産の所有権を取得しなかつたことをもつて、善意の第三者に対抗することができないものと解すべきである。
二、民法94条2項にいう第三者とは、虚偽表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいい、甲乙間における虚偽表示の相手方乙との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた丙が悪意の場合でも、丙からの転得者丁が善意であるときは、丁は同条項にいう善意の第三者にあたる。
参照法条
民法94条2項
最判昭57・6・8 第三者に該当しない者
判示事項
土地の仮装譲受人から右土地上の建物を賃借した者と民法94条2項所定の第三者
裁判要旨
土地の仮装譲受人からその建築にかかる右土地上の建物を賃借した者は、民法94条2項所定の第三者にはあたらない。
《建物を賃借した者は、仮装譲渡された土地について法律上利害関係を有する者とは認められない》
参照法条
民法94条2項
最判昭38・11・28 第三者に該当しない者
判示事項
借地上建物の仮装譲渡の無効は土地賃貸人に対抗しうるか。
裁判要旨
土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、右譲渡につき民法第94条第2項にいわゆる第三者にあたらない。
参照法条
民法94条,民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
最判昭28・10・1 第三者に該当する者
判示事項
地上家屋の仮装譲受人からこれを善意で譲り受けた者の家屋買収請求権の有無
裁判要旨
所有地上に家屋を有する者が、その家屋のみを他に仮装譲渡した場合において、右仮装譲受人よりさらにこれを善意で譲り受けた者に対し、家屋敷地の賃貸を承諾しない場合は、右善意の譲受人は土地所有者に対し家屋の買取請求権を有する。
参照法条
民法94条,借地法10条
最判昭48・6・28 第三者に該当する者
判示事項
未登記建物の所有者においてその建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを承認していた場合と民法94条2項の類推適用
裁判要旨
未登記建物の所有者は、その建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認していた場合には、民法94条2項の類推適用により、右名義人が所有権を有しないことを善意の第三者に対抗することができない。
《仮装譲受人の一般債権者は、94条2項の第三者に該当しないため、虚偽表示の無効を一般債権者に対抗できる。なお、一般債権者が差し押さえた場合には、一般債権者は94条2項の第三者に該当するため、虚偽表示の無効を善意の一般債権者に対抗できない》
参照法条
民法94条2項
最判昭55・9・11
判示事項
一 原抵当権が虚偽仮装であることにつき善意で転抵当権の設定を受けその旨の登記を経由した者が民法376条所定の対抗要件を具備しない場合と同人の原抵当権設定者に対する原抵当権設定登記の抹消の承諾義務
二 民法94条2項所定の第三者の善意の判定時期
裁判要旨
一 甲と乙との通謀により甲から乙に対し抵当権を設定したものと仮装した抵当権設定登記が経由されたのち、乙が善意の丙に対し転抵当権を設定し、丙を権利者とする転抵当権設定登記が経由された場合において、丙は、いまだ民法376条所定の対抗要件を具備しないときであつても、原抵当権の設定の無効を理由とする原抵当権設定登記の抹消について、甲に対し承諾の義務を負うものではない。
二 民法94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至つた時期を基準として決すべきである。
参照法条
民法94条,民法376条(抵当権の処分)1項,不動産登記法146条1項
最判昭45・7・24 第三者に該当する者
判示事項
一、不動産の所有者が他人名義を使用して不実の登記を経由した場合における民法94条2項の類推適用
二、民法94条2項にいう善意の第三者
裁判要旨
一、不動産の所有者甲が、乙にその所有権を移転する意思がないのに、乙名義を使用して他からの所有権移転登記を受けたときは、右登記について乙の承諾がない場合においても、民法94条2項を類推適用して、甲は、乙が不動産の所有権を取得しなかつたことをもつて、善意の第三者に対抗することができないものと解すべきである。
二、民法94条2項にいう第三者とは、虚偽表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいい、甲乙間における虚偽表示の相手方乙との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた丙が悪意の場合でも、丙からの転得者丁が善意であるときは、丁は同条項にいう善意の第三者にあたる。
参照法条
民法94条2項

