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民法(即時取得)第192条

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(即時取得)
第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

令和6年5月24日 施行
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/20240524_506AC0000000033


自己の所有するものであると誤信して、その立木を伐採しても取引行為によるものではないため即時取得は認められない(大判昭7・5・18)


↓AIによる解説(内容は間違いがある可能性があります)Claude sonnet4.6作成

民法 第192条

即時取得(善意取得)

宅建 行政書士 司法書士
📜 条文(令和8年4月1日施行)

取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

出典:e-Gov 法令検索「民法」(令和8年4月1日施行版)

💡 わかりやすい解説

動産(モノ)の取引では、売主が本当に所有者かどうか確認するのは難しいものです。
「即時取得」は、占有(実際に持っていること)という外観を信頼して取引した者を保護する制度です。
無権利者(本当の所有者ではない人)からでも、一定の要件を満たせば権利を取得できます。

● 即時取得の成立要件(5つ全て必要)
  • ① 動産であること
    不動産・登録済自動車・金銭・有価証券は対象外
  • ② 取引行為によること
    売買・贈与・質入れ等が対象。相続・原始取得は不可
  • ③ 無権利者(無権限者)からの占有取得
    真の権利者から直接取得した場合は通常の取得であり本条は不要
  • ④ 平穏・公然・善意・無過失であること
    平穏・公然・善意は民法186条で推定。無過失も188条により推定(最判昭41.6.9)
  • ⑤ 占有を取得すること(引渡しの種類に注意)
    ✅ 現実の引渡し(182条1項)→ 有効
    ✅ 簡易の引渡し(182条2項)→ 有効
    ✅ 指図による占有移転(184条)→ 有効(最判昭57.9.7)
    ❌ 占有改定(183条)→ 即時取得は不成立(最判昭35.2.11)

📝 即時取得の効果:原始取得
即時取得によって得た権利は「原始取得」とされます。つまり、取得前に設定されていた担保権・用益権等の負担を一切引き継ぎません。例えば、質権が設定されている動産を即時取得すると、その質権は消滅します。

🧠 重要キーワード暗記(クリックで答えを表示)
即時取得で保護される権利外観(公示手段)は?
👀 クリックして確認
動産の占有(186条・188条で善意・無過失を推定)
占有改定では即時取得が認められない根拠は?
👀 クリックして確認
外部から占有取得が明らかにならず、真の権利者の保護が失われるため(最判昭35.2.11)
登録済み自動車が即時取得の対象外となる理由は?
👀 クリックして確認
登録が所有権の公示手段とされており、占有に公信力が認められないため(最判昭62.4.24)
即時取得の取得原因の種類(例)は?
👀 クリックして確認
所有権のほか質権も取得可。売買・贈与・質権設定等の取引行為が対象
善意・無過失の判断時点は?
👀 クリックして確認
占有取得の開始時点(契約締結時ではなく引渡し時)
盗品・遺失物の特則(民法193条・194条)の概要は?
👀 クリックして確認
盗品・遺失物は2年間、被害者・遺失者が無償で回復請求できる(競売・市場での購入は代価弁償が必要)
⚖ 重要判例
最高裁判所 昭和35年2月11日 第一小法廷判決 宅建・行書・書士 頻出

動産の売買において、売主がそのまま動産を保管する合意(占有改定)がなされた場合、買主が即時取得の成立を主張できるか。

▶ 占有改定による占有取得では即時取得は成立しない。現実の支配が外部から明確にならない場合は真の権利者保護が優先される。

最高裁判所 昭和57年9月7日 第三小法廷判決 行書・書士 頻出

倉庫業者が保管する物品について、荷渡指図書に基づき寄託者名義の書換えがなされた場合(指図による占有移転)に即時取得が成立するか。

▶ 指図による占有移転(民法184条)は即時取得における「占有の取得」に該当し、即時取得が成立しうる。

最高裁判所 昭和62年4月24日 第二小法廷判決 宅建・行書・書士 頻出

道路運送車両法による登録を受けた自動車を無権限者から購入した場合、民法192条による即時取得を主張できるか。

▶ 登録済自動車は登録が所有権の公示方法とされているため、民法192条(即時取得)の適用はない。占有という外観への信頼保護は及ばない。

最高裁判所 昭和41年6月9日 第一小法廷判決 書士 重要

即時取得の成立における善意・無過失の立証責任はどちらが負うか。

▶ 取引行為による占有開始者については、民法188条(占有者の権利の適法推定)によって無過失も推定される。真の権利者側が取得者の悪意または有過失を立証しなければならない。

🔗 判例検索:裁判所ウェブサイト 判例検索

🎯 試験別ポイント
  • 即時取得は動産のみに成立。宅地建物(不動産)には適用なし。
  • 登録済み自動車は即時取得の対象にならないことを押さえる。
  • 善意・無過失・平穏・公然の4要件はセットで覚える。
  • 占有改定では成立しないが、現実の引渡しや指図による占有移転では成立する。
  • 宅建試験では毎年1〜2問の出題が見込まれる重要条文。
  • 引渡しの種類(現実・簡易・指図による占有移転・占有改定)と即時取得の成否を整理する。
  • 占有改定での即時取得否定(最判昭35.2.11)は頻出論点。
  • 193条・194条の盗品・遺失物の特則(2年間・競売での代価弁償)も関連して出題される。
  • 善意・無過失の推定(188条、最判昭41.6.9)も整理しておく。
  • 質権も即時取得の対象となることを確認する。
  • 成立要件・効果(原始取得)・例外(盗品・遺失物)を体系的に整理する。
  • 占有改定否定(昭35判例)と指図による占有移転肯定(昭57判例)の対比が重要。
  • 契約時点では悪意だったが引渡し時に善意・無過失の場合の処理を理解する。
  • 法人における善意・無過失は代理人(取引担当者)基準で判断(大判)。
  • 193条・194条の要件(被害者または遺失者・2年・競売での代価弁償)は頻出。
  • 192条と94条2項の第三者保護との場面の違いを整理する。
✏ 一問一答(クリックで回答)
1 AがB所有の動産をBから無断で占有しているCから買い受け、CがAのために動産を保管する旨の合意(占有改定)をした。この場合、Aは即時取得によって所有権を取得するか。
取得しない。
占有改定(民法183条)による占有取得では、外部から占有の移転が明らかにならないため、即時取得は成立しない(最判昭和35年2月11日)。即時取得が認められる引渡しは、現実の引渡し・簡易の引渡し・指図による占有移転の3つに限られる。
2 道路運送車両法に基づき登録された自動車について、無権限者から善意・無過失で現実の引渡しを受けた場合、即時取得が成立するか。
成立しない。
登録済み自動車は、登録が所有権の公示方法とされているため、民法192条の適用はない(最判昭和62年4月24日)。登録という公的な公示方法がある以上、占有への信頼保護(公信の原則)は及ばない。
3 倉庫業者に寄託された商品について、寄託者が第三者に荷渡指図書を交付し、倉庫業者が台帳上の名義を変更した(指図による占有移転)。この場合、第三者に即時取得は成立しうるか。
成立しうる。
指図による占有移転(民法184条)は、即時取得における占有の取得方法として認められる(最判昭和57年9月7日)。他の要件(善意・無過失等)を満たせば即時取得が成立する。
4 即時取得を争う真の所有者は、取得者の「悪意または有過失」について自ら立証しなければならないか。
はい。真の所有者側が立証します。
民法188条により占有者が適法な権利を有すると推定されるため、無過失も推定される(最判昭和41年6月9日)。取得者が善意・無過失を積極的に証明する必要はなく、即時取得を争う側が悪意または有過失を立証しなければならない。
📋 引渡し方法と即時取得の可否まとめ
引渡しの種類 内容 即時取得
現実の引渡し(182条1項) 物を実際に相手方に渡す ✅ 成立
簡易の引渡し(182条2項) すでに占有している者に所有権を移す ✅ 成立
指図による占有移転(184条) 第三者占有中に指図して移転 ✅ 成立(昭57判例)
占有改定(183条) 売主がそのまま保管を続ける ❌ 不成立(昭35判例)

対象物 即時取得 理由
一般動産(家具・宝石等) ✅ 成立しうる 占有が公示方法のため
不動産 ❌ 不成立 登記制度あり(177条適用)
登録済み自動車 ❌ 不成立 登録が公示方法(昭62判例)
未登録自動車 ✅ 成立しうる 登録なし・動産として扱う
金銭 ❌ 原則不適用 占有=所有として扱われる
結果
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