⚠ ひっかけパターン:効果の追加(無償使用という誤った効果を付加)
- 1
抵当権設定後に賃貸借契約締結(抵当権者に対抗不可)
- 2
競売手続開始、買受人が建物を買受け
- 3
- 4
買受けの時から6か月間は明渡し猶予(賃料支払義務は残る)
- 5
1か月分以上の支払いを怠ると猶予の効果を主張できない
- ① どこが間違いか
- 明渡猶予期間中も無償で使用できるとしている点が誤りである。
- ② なぜ間違いか
- 正しくは、明渡猶予期間中であっても賃借人は建物使用の対価を買受人に支払う義務を負う。民法395条2項は、買受人が相当の期間を定めて1か月分以上の使用の対価の支払いを催告し、その期間内に履行がない場合には明渡猶予の効果を主張できなくなると定めている。したがって「無償で使用することができる」とする点は明らかな誤りである。
- ③ 正しい記述
- 抵当権者に対抗できない賃貸借により競売手続の開始前から建物を使用していた者は、買受人の買受けの時から6か月間は建物の明渡しを猶予されるが、買受人から使用の対価(相当賃料額)の支払いを請求された場合にはこれを支払う義務を負い、1か月分以上の支払いを怠ると猶予の効果を失う。
- ④ なぜこのルールがあるのか
- 抵当権は登記により公示されるが、抵当権設定後に締結された賃貸借は原則として抵当権者(買受人)に対抗できないため、競売が行われると賃借人は即座に住居や店舗を失うおそれがある。そこで一定期間の猶予を与えて急激な生活・営業の破綻を防ぎつつ、他方で買受人が無償で建物を占有され続ける不利益を負わないよう、使用の対価の支払いという形でバランスを図っている制度である。
🎯 試験での問われ方
「6か月間は無償で使用できる」「賃料を支払わなくてもよい」という言い切り文で、猶予期間=賃料免除と誤認させる肢が頻出する。猶予される対象はあくまで『明渡し』であり『賃料支払義務』ではない、という区別を意識して読むこと。
★ 覚え方:「明渡しは待ってもらえるが、タダではない」と覚える。猶予=時間の猶予であって、賃料(使用対価)の免除ではない点をセットで押さえること。
- 正しいルール
- 建物明渡猶予制度により買受人の買受けの時から6か月間は明渡しが猶予されるが、その間の使用の対価として買受人から相当賃料の支払いを請求されればこれを支払う義務がある
- 根拠条文
- 民法395条1項、民法395条2項
民法395条の条文を見るe-Gov法令API取得
(抵当建物使用者の引渡しの猶予)
抵当権者に対抗することができない賃貸借により抵当権の目的である建物の使用又は収益をする者であって次に掲げるもの(次項において「抵当建物使用者」という。)は、その建物の競売における買受人の買受けの時から六箇月を経過するまでは、その建物を買受人に引き渡すことを要しない。
一 競売手続の開始前から使用又は収益をする者
二 強制管理又は担保不動産収益執行の管理人が競売手続の開始後にした賃貸借により使用又は収益をする者
2 前項の規定は、買受人の買受けの時より後に同項の建物の使用をしたことの対価について、買受人が抵当建物使用者に対し相当の期間を定めてその一箇月分以上の支払の催告をし、その相当の期間内に履行がない場合には、適用しない。
令和8年(2026年)4月1日施行の法令を参考にしています。